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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「こんな順位で…」193センチ大型右腕“ビックリ指名”のウラで聞こえた残酷な悲鳴「目玉は立石正広」創価大ドラフト密着中にじつは起きていた“指名漏れ”
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/10/28 11:03
10月23日、阪神とヤクルトからそれぞれドラフト指名を受けた立石正広と山崎太陽
指名を受けた者と、指名から漏れた者
壇上の椅子とテーブルが片付けられ、立石と山崎の記念撮影用のセッティングに切り替わる。ときおり笑顔を浮かべて気丈に振る舞う大島に、野球部の仲間たちもごく自然に接していた。悔しさも苦しみも、本当の意味で味わう資格があるのは本人だけだとわかっているかのように。苦楽をともにした間柄に特別な気遣いは無用なのだと思わせる一幕だった。
指名を受けた2人が花束を手に壇上で写真に収まる。もうひとつは確実に用意されていたであろう花束の所在を思うと、胸が苦しくなる。野球部の集合写真でも、続けて行われた屋外での胴上げの撮影でも、大島は後景に退いて、立石や山崎と並び立つことはなかった。
完全に日が沈んだキャンパスの一角で、かけ声とともにストロボライトが明滅する。彼らに向けられる光量の違いが、ドラフト指名を受けた者と指名から漏れた者の残酷なまでの差異を端的に表していた。
4日前に大島が記者に語っていた“ある言葉”
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ひと通りの撮影が行われたあと、山崎の両親に話を聞くことができた。母の糸子さんは「ビックリしました……!」と3位指名への驚きを口にしつつ、ドラフト前の“家族会議”の内幕を明かしてくれた。
「本当にダメ元で。誰もが経験できることではないから、(プロ志望届を)出してもいいんじゃない? って。よくて下位指名、育成でもいいなら頑張りな、って」
山崎の父の洋次(ひろつぐ)さんも笑顔で指名の瞬間を振り返る。
「まさか上位で呼ばれると思わなかったんで、完全に準備してませんでした……。声、出ましたね!『えーっ!』って」
山崎家では息子の同期生である立石や大島を迎えて食事会を行うこともあるという。洋次さんは指名漏れした大島の心境を慮りながら、こう述べた。
「大島くんは試合を見ていても一番センスのあるバッター。守備範囲も広くて、再三再四プレーでチームを救ってくれた選手だったので、一緒に呼ばれることを望んでいましたけど……。ポテンシャルもありますから、次のステージで頑張ってほしいです。また、同じ場所で野球ができることを願っています」
ドラフト会議の4日前、霧雨の降る飯能市民球場で、大島は「ドラフトがどんな結果になっても、野球は続けます」と話していた。理想の選手として名前をあげた阪神の近本光司も、関西学院大学卒業後に大阪ガスで研鑽を積み、ドラフト1位指名をもぎ取った。もちろん言葉でいうほど簡単なことではないだろう。それでもプロへの道は、まだ続いている。

