「プロでも箸にも棒にも…ってことはないでしょう」プロ志望の東大“サブマリン”エースに元スカウトのリアル評は？「ちょっと心配なのは…」 

　そう前置きして、

「ちょっと心配なのは、身長が低いこと（167cm）ですね。身長が低いと、それだけ踏み込みも浅くなるんでね。いちばん肝心な“球持ち”がね。お父さんの俊介の場合は、向輝君よりも10cmぐらい背がありましたから、踏み込みも深くて、リリースポイントもすごく打者に近かった。それが、大きな武器になっていました。それと小柄だと、どうでしょうねぇ、指なんかもちょっと短いのかもしれないですねぇ」

リーグ戦では慶大撃破…チームも勢いに乗る

　10月4日、秋のリーグ戦で東京大は、慶應義塾大を6対3で破り、およそ1年ぶりの勝利に沸いた。

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　この試合で、終盤2イニングの抑え役として神宮のマウンドに上がった渡辺向輝投手は、本塁打を1本打たれたものの、その1安打のみに抑えて3点差を守り、久々のリーグ戦勝利に結びつけた。

　そしてその1年前……昨秋のリーグ戦で強打の法政大打線を向こうにまわし、9安打7四死球を許しながら、わずか2点に抑えて完投勝利を飾ったのも、アンダーハンドの渡辺向輝投手だったのである。

様々な意味で異色のサブマリン。果たしてプロ球団の指名はあるのか　©Shigeki Yamamoto

　120キロ弱でも、ホップすればドン詰まりの凡打に封じ、シュートは118キロで右打者の胸元に食い込み、100キロ台でわずかに動くのはカットボールかシンカーか。

　120キロ、110キロだって、渡辺投手は全力投球の腕の振りだから、打者は面食らい、タイミングを逸する。上からの140キロ、150キロが当たり前の今の野球では、「見たことのないボール 」かもしれない。今季、育成入団したヤクルトの真性アンダーハンド・下川隼佑投手の奮投は、果たして追い風になるのか？

　東京大学野球部4年・渡辺向輝、「支配下指名でお願い！」の真っ向勝負。

　そのピッチング同様、強気の姿勢で、ドラフトに挑む。