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「やっぱり真佑にはバレてるんだなぁ」女子バレー主将・石川真佑と“159cmセッター”中川つかさ25歳コンビの絆…ライバルが最強の仲間になった夏 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2025/08/27 17:02

「やっぱり真佑にはバレてるんだなぁ」女子バレー主将・石川真佑と“159cmセッター”中川つかさ25歳コンビの絆…ライバルが最強の仲間になった夏<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

バレーボール女子日本代表の合宿中に25歳になった中川つかさ(右)を祝う石川真佑

「今のチームは若い子たちも多い中で、自分を抑えるじゃないですけど、たぶん時々我慢もしながら、つかさがすごくうまくまとめてくれていて。大人になったんだなぁ、って感じることが増えました」

 石川の言葉を25回目の誕生日を迎えたばかりの中川に伝えると、小さな声で「知らなかった」と照れくさそうに笑う。

「やっぱり真佑にはバレてるんだなぁ。私の気持ち、言葉にしなくても真佑には伝わる。ごまかせないです」

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 何が「ごまかせない」のか。中川の答えはシンプルだった。

「代表(登録メンバー)に入るのは今年が3回目。こんなに長くやらせてもらうのは初めてです。代表だけじゃなくNECでもいろんな世界を経験させてもらう中で、自分の感情を一番に出すんじゃなく、自分の感情は二歩、三歩後ろに置いて今何がいいのか。何をすべきかというのは考えるようになったし、発言する言葉一つとっても、いろいろ意識して発するようになりました。日本代表でプレーしたい、そのためには自分の良さとか持ち味を出すこともアピールの一つですけど、とにかくどんなところでもいいからチームに貢献するって決めたんです」

石川も決して順風満帆ではなかった

 もがいて、もがいて、ようやくチャンスを掴もうとする中川の気持ちは石川も手に取るようにわかる。先に世界へ飛び出したが、ブロックが並ぼうと伸び伸びと高いトスを自信を持って打ち切れた10代の頃とは異なり、速さや多彩さを求められるうちにプレーが窮屈になっているのを感じた時期もある。日本代表でもVリーグでも、自身にトスが集中した終盤に決めきれず、「決められなかった自分が悪い」と涙するシーンもあった。

 どんなトスを打ちたいか、どんな攻撃をしたいのか。たずねても「うーん」と言葉を選んでいた石川が、一度だけ中川の名前を出したことがあった。

「つかさのトスは、私をわかってるなって思います。欲しい時に持ってきてくれるタイミングとか。ここは来るよね、持ってきてくれるよね、と思うところでくる。言葉にして伝えたことはないですけど、つかさにはわかるんだなって」

 互いの心を理解するのに言葉はいらない。2人の阿吽の呼吸は、窮地に追い込まれた日本を救った。

【次ページ】 「真佑とできていることが幸せ」

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