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「野球だけじゃダメなんです」沖縄尚学・比嘉公也が球児と“交換ノート”を続けた理由…センバツ最年少優勝から17年、悲願の夏の甲子園初制覇へ

posted2025/08/22 17:01

 
「野球だけじゃダメなんです」沖縄尚学・比嘉公也が球児と“交換ノート”を続けた理由…センバツ最年少優勝から17年、悲願の夏の甲子園初制覇へ<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

夏の甲子園では初の決勝進出を果たした沖縄尚学。比嘉公也監督(44歳)の選手起用にも注目が集まる

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城島充

城島充Mitsuru Jojima

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Sankei Shimbun

沖縄県勢として15年ぶりとなる夏の甲子園決勝進出を決めた沖縄尚学。強さの要因はどこにあるのか。2009年、比嘉公也監督を取材したSports Graphic Number736号(同年9月3日売)『沖縄尚学 心をつないだノート』を特別に無料公開する。《全2回の後編/前編から続く》※表記などはすべて初出時のママ

時に辛辣なコメントも書き込む

 練習が熱を帯びてくると、比嘉はダッグアウトを飛び出し、グラウンドで厳しい目を光らせる。長机の上には52冊のノートが置かれたままだ。

 部員たちが寮や自宅に帰る前にノートを返さなければならないから、夏休み中の比嘉は練習後のダッグアウトでもノートの山と向き合うことになる。書き込むコメントはときに辛辣だが、部員たちにはこう伝えてある。

「おいしい料理にはおいしいって言って、まずい料理にはまずいって言ったほうがお前らもいいやろ」

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 実際、監督就任2年目で春の選抜を制したときのチームは、それぞれの部員が豊かな感受性を持っていた。

「東浜((なお))なんかはブルペンで感じたちょっとした周囲の変化や、自分自身の感覚のわずかなずれをきちんと言葉にして伝える力があった。素晴らしいノートを作ってました」と比嘉は振り返る。

「もちろん、一人ひとりとのコミュニケーションですから、チームカラーによって変わるものではない」とも言うが、一方で選抜で2度目の優勝を果たしたチームと比べると、今の部員たちの文章はまだまだ比嘉を納得させるものではない。

「みんな優しくて、大人しい。その優しさがゲームの大事な局面で悪い形で出てしまう可能性がある。僕たちのころのほうが、強い気持ちを持っていました。どうすれば、彼らの闘争心に火をつけられるのか。その試行錯誤はずっと続いてます」

【次ページ】 「こんな内容の浅いノートは二度と見せるな」

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