PL学園“最強世代”はいつなのか…清原和博の答えは？ “KKの背中”を追いかけて…後輩たちを一つにした「同級生の死」と「奇跡の試合」秘話 

　初めて甲子園のマウンドに立った野村は、緊張で頭の中が真っ白になった。スタンドの風景はまったく目に入らず、初球にどんなボールを投げ込んだかも覚えていない。

　87年春の選抜大会、1回戦で対戦した西日本短大付属の左腕・石貫宏臣は、大会屈指の好投手だった。くじをひいた立浪がメンバーから責められたほどの強敵だったが、3対1で勝利をおさめると、チームに勢いがつく。

　続く広島商との試合では打線が爆発、野村から同じ3年生の岩崎充宏につなぐ完封リレーで8対0と圧勝した。

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　準々決勝の帝京戦は2対2のまま延長11回までもつれたが、3人の継投で帝京打線を抑え、最後は好投手の芝草宇宙から長谷川将樹がサヨナラ打を放った。

　最も追い込まれたのは、準決勝の東海大甲府戦だ。初回に2点を先制された野村が3回に降板、リリーフした橋本もタイムリーを許し、序盤で5点のリードを奪われた。

87年世代の「背番号1」を背負った野村弘樹。卒業後はドラフト3位で横浜に入団93年に最多勝（2011年撮影） ©Tamon Matsuzono

　1点を返して迎えた6回表、PLは怒濤の攻めを見せる。浜風を警戒して深めに守っていた外野手の手前に落ちるラッキーなヒットをきっかけに、7番を打っていた片岡の二塁打などで一気にたたみかけ、同点に。その後は投手戦になり、橋本が9回までふんばると、延長のマウンドには岩崎が立った。

　エース級の力を持つ投手が3人いることが、33期の最大の強みだった。この試合でも岩崎が東海大甲府打線を封じると、14回に3点をあげて劇的な逆転勝利を飾った。

苦しんだPLの看板…「甲子園が強くしてくれた」

「甲子園が僕たちを強くしてくれた」と立浪が語るように、延長戦で強豪校に競り勝っていく姿は、ともに準決勝で敗退した大阪大会、近畿大会とは別のチームのようだった。

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＜春夏連覇組の'85年と'87年＞ PL学園 「KKの背中を追え」