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野球クロスロードBACK NUMBER
「あんなエラーなんて…やっぱり甲子園なのかな」今夏の魔物は“外野に棲んでいる”!? 選手が語った「レフトにまさかのミス続出」ミステリーのワケ
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/17 17:02
なぜか今大会はレフトにエラーが目立つ。決して守備に不安があるわけではない日大三のレフト・嶌田大翔が高川学園戦では落球する場面も
ライトからレフト方向へ吹く強烈な浜風に騙されないこと。
豊橋中央戦は雨が降っており、高川学園との試合でも前日の集中豪雨の影響により、天然芝に雨水が含まれていた。そのことによって足元が沈みやすく、バウンドの変化も不規則になることがある――。
嶌田は教訓を仲間に伝えた。9回からレフトの守備に就いた、1年生の福井理仁は3年生のこの先輩から助言を受け、グラウンドへと飛び出した。
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「風があんまりないから、左バッターのときはラインのほうまで寄らなくていい。あと、レフトの定位置付近はバウンドが変わるから」
そして、最後のバッターのフライを無難に捌きゲームを締めた福井が、嶌田に感謝する。
「嶌田さんと前川さんは西東京大会でもわかりやすいミスをしませんでしたし、ベンチから信頼を寄せられていて。そういうふたりがあんなエラーをするっていうところが、やっぱり甲子園なのかな、と思いました」
レフトだけに起こる、謎の負の連鎖。
ナイターと雨、日中の試合。あらゆる環境でプレーした日大三だからこそ、選手の言葉にはどこか納得させられるものがある。
だからといって、全てが解明されたかといえば、そうと言い切ることはできない。
監督も首を傾げて…「なんなんですかね?」
「取れるアウトはしっかり取ってもらわないと、というのはありますけどね」
日大三の三木有造監督は苦言を呈するが、レフトにミスが多いことを尋ねると「知っています」と即答し、首を傾げていた。
「風があるとはいえ、打球はいつもより伸びている……なんなんですかね?」
今年はレフトに、甲子園の魔物が棲みついてしまったのだろうか……。

