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「横綱大の里、引くクセが弱点」批判も…波乱の大相撲、元大関・魁皇は“異論”「大の里はたった2年。それまで大学生だったんだから」 

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浅香山博之

浅香山博之Hiroyuki Asakayama

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posted2025/08/01 17:04

「横綱大の里、引くクセが弱点」批判も…波乱の大相撲、元大関・魁皇は“異論”「大の里はたった2年。それまで大学生だったんだから」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲名古屋場所、11勝4敗だった新横綱・大の里。金星を4つも配給してしまい、厳しい声も聞かれた

 昇進時から、「まだもう一場所見れば」などと賛否はあったけれど、本人のせいじゃない。周りが上げたんだから(笑)。いい時は前に出て攻める相撲なんだけど、投げにこだわると墓穴を掘るんですよね。攻めきれずに投げて引いてしまう。前に出る相撲が取れなかったのは、足の親指の痛みがあったからかな。親指って土俵の砂をかむためにも、とても大事なんですよね。体を休めて治すというよりも、体を動かしながら力を落とさないように、今できることをやっていってほしいですね。

 安青錦……立派でしたね~(しみじみ)。11勝してまた三賞をもらったけど、上位陣にとっては嫌な相手ですよ。低く潜って来て、引いても前に落ちない相撲。安青錦の攻略法としたら、立ち合いから圧倒して先に攻めて、体を起こして前に出ることかな。潜らせないようにして、横に動いてもいい。こうやって言うのは簡単だけど(笑)。 これからが大事ですね。勢いだけでなく力があるところを見せてほしい。内無双を見せたり足技も使えるけど、とにかく何かしら攻めようとする姿勢がいい。”銭の取れる相撲”で、これからもファンを楽しませてほしいものです。

“驚くべき40歳”玉鷲

 前頭8枚目の一山本が10日目まで1敗で勢いがあり、盛り上げてくれたけど、後半5連敗。彼は、たまにそういうところがあるお相撲さんですよね(笑)。突きの力もそこそこあるし、タイミング見て引いたりのトリッキーなところもあって、何してくるかわからない。阿炎タイプの面白い存在ですね。「もしかしたらやってくれるかも?」と期待しちゃう。これからも優勝のチャンスは――なくはないんじゃないでしょうか。優勝戦線に絡んでかきまわし、盛り上げてほしいです。こんなふうにいろいろなタイプの力士がいるから、相撲って面白いんですよねぇ。

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 40歳の玉鷲の活躍も素晴らしかったです。前に出る相撲を常に心掛けているのがわかるし、押し合いになっても引かない。たまに滑ったりして負けることがあるくらいでね。あの年で若手を前に持っていっちゃうんですから、たいしたものです。今の時代は30歳を超えてから脂が乗るお相撲さんも多いですけど、玉鷲がいる限り、若い力士たちは、「お前ら何やってんだ!」とドヤされますね(笑)。

 今場所はIGアリーナという新しい施設での開催でしたけど、広くて施設内の飲食店なども充実していて、お客さんも楽しめたんではないでしょうか。初めて尽くしだから、まだまだ改善の余地がたくさんありますけれど。15日間の相撲自体も面白くて、僕自身も楽しめた場所でした。次の9月の秋場所も、若隆景の大関取りなど見どころがいっぱいあります。また来場所をお楽しみに! 

(構成=佐藤祥子)

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