試合後に敗者クレベルが激怒…物議を醸す“朝倉未来のリベンジ勝利”、RIZIN判定は適切だったのか？“絞め技失神負け”前回対戦との「最大の違い」 

朝倉もクレベルも攻めた…判定が“割れた”理由

　試合展開の大枠としては、前回に似ていた。柔術の強豪であるクレベルがタックルで組み付き、寝技に持ち込もうとする。朝倉がディフェンスするとクレベルは自らグラウンドに引き込む。朝倉は立ち上がってスタンドで得意な打撃を放つ。この繰り返しだった。

　前回の対戦では、クレベルが引き込んでからの三角絞めで勝っている。今回は一本勝ちこそ逃したものの、それでも終始タックルを仕掛け、アグレッシブに攻めていたのは自分だというのがクレベルの主張だ。

　クレベルが攻め続けたのは間違いない。その点を評価したジャッジがいたから、判定が割れたのだ。ただ3人のジャッジのうち2人は朝倉を支持した。朝倉もまた攻め続けていた。スタンドでのパンチをヒットさせ、グラウンドでもパウンドを落としていく。

グラウンドでパウンドを落とす朝倉　©RIZIN FF Susumu Nagao

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　RIZINのジャッジはラウンドごとではなく試合全体を通して優劣をつけるもの。判定基準は1.ダメージ、2.アグレッシブネス、3.ジェネラルシップとなっている。打撃で上回った朝倉がダメージをより与えたという見方も、やはり間違いではないのだ。

“前回対戦”との最大の違いとは？

　タックルで組み付き、コーナーに押し込む展開が多かった。その点ではクレベルが攻める時間が長かったと言える。しかし結果としてテイクダウンはできず、引き込みへ。「タックル失敗」と取れば効果的な攻撃とは認められず、RIZINの採点基準ではポイントにならない。

　これを逆に「テイクダウンディフェンス成功」と捉えれば、朝倉にジェネラルシップのポイントが入ることにもなるだろう。RIZIN CEOの榊原信行は、私見としながらもこんな見解を示した。

「何をもってアグレッシブとするのかですよね。結果として決まらなかったタックルをどう捉えるか。打撃を避けたという見方もできる」

テイクダウンを狙うクレベルだが朝倉も背中をマットにつけず粘りを見せる　©RIZIN FF Susumu Nagao

　スタンドに加えグラウンドで朝倉が攻める場面も目立った。ここが前回との大きな違いだ。前回は引き込んでコントロールしてくるクレベルに対し、朝倉は防御一辺倒。立ち上がって“逃げた”印象だ。

　しかし今回はパンチやヒジ打ちを落としてから、つまりダメージを与えてから立ち上がった。見え方としては「逃げた」ではなく「自力でスタンドに戻した」となる。

　組み技の練習を徹底的にやり込んで、なおかつクレベルのクセも研究して、朝倉は「下から極められることはない」という自信を持って試合に臨んでいた。斎藤裕がクレベルと闘った試合を参考に「クレベルの三角絞めは右足を入れる形しかやってこない」と見抜く。そちら側のヒジとヒザでブロックすれば、三角絞めは極まらないというわけだ。

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