プロ野球PRESSBACK NUMBER
「もっと強くならないと」ロッテ・中森俊介が語る“原点”の夏「9回大逆転、空白の青春…」明石商の盟友・来田涼斗(オリックス)と再会し蘇った思い
text by

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2025/07/10 11:02

思い出深い球場で再開したロッテ・中森とオリックス・来田
原動力となった「野球がしたい」熱い思い
空白の青春。しかし、世界中の人が皆味わった我慢の日々。どうしようもないことと受け止めるしかなかった。ただ、だからこそ野球への熱もより強くなった。
「こんなに野球をしていない時間は今までなかった。野球がしたくなりました。今はその時の気持ちもあるので、引退をする時にやり切れたなあと思えるようにやれることはすべてやろうと思っています」
夏の大会という絶好のアピールの場はなかったが、中森はドラフト2位でマリーンズ入り。来田は3位でバファローズに入る。プロ5年目の今年は、5月20日の京セラドーム大阪で2人の初対決も実現した。「ボクというより周りが対戦を期待していたと思う」。結果は中森が来田を空振り三振にとった。
「1年目から沢村賞」口にした理由は…
ADVERTISEMENT
中森はストッパーを任される場面が増えるなどチームの欠かせない戦力となり、ついに監督選抜で初のオールスター出場も決まった。確実に前に進んでいるがプロ1年目の時に中森が掲げていたのは、大きな目標だった。
「1年目から15勝して沢村賞をとる」
入団会見で18歳はケロッと言ってのけた。もちろんその難しさは知っていたが、本人は至って真面目だった。「本当にとりたいと思っていた。もちろんそんな甘くはなかったですけど」と今も振り返る。この強心臓もまたストッパー向きなのかもしれない。
「根拠なき自信ではありましたけど、大きな目標とか夢は持たないといけないなあと思っています」
希望が小さくまとまらないように…
2年前、小学生を対象に夢をテーマにスピーチをする機会があった時も同様のことを口にした。
「子供たちにはなんかやれそうだなあ、といつだって思って欲しい。最初からダメだとか考えていたら自分で自分にストップをかけてしまい、大きくはなれないと思う」
若き希望が小さくまとまらないように。それは中森本人が何よりも大事にしている信念だ。結果的にはプロ1、2年目は身体作りが優先され一軍登板はなかったが、23年に初勝利し、25年は初セーブを挙げるなど急成長を遂げている。