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田中希実“圧巻の6連覇”のウラ側で…「世界大会入賞→米の名門大へ異例の進学」19歳になった元“天才女子高生ランナー”のいま「時間はかかるけど…」 

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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posted2025/07/08 11:08

田中希実“圧巻の6連覇”のウラ側で…「世界大会入賞→米の名門大へ異例の進学」19歳になった元“天才女子高生ランナー”のいま「時間はかかるけど…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年9月にアメリカのルイジアナ州立大に進学した澤田結弥。高校時代はU-20世界選手権で6位入賞するなど日本中距離界次世代ホープのひとり

「とにかく自己ベストを早く超えたいです。3年も前の記録に捉われているのが嫌で……自分で自分に負けている気がして、それがずっと悔しい。練習ではもう(自己ベストに)近いタイムでは走れていて、世界陸上に出そうな先輩選手とも一緒のメニューができているので、自信は少しずつついてきています」

 この日少し気になっていたのが、澤田がレースを最後尾から進めていたことだった。

 アメリカでのフィジカル強化の影響か、フォームは高校時代よりも明らかにパワフルになっていた。それだけにやや消極的な位置取りにも見えた。酷暑や終盤で順位を上げたレース展開を考えればクレバーな走りとも言えるが、一方で高校時代の澤田の武器は「行けるところまで突っ込む」という良い意味での無謀さだった。

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 経験を積んだからこその戦略性は垣間見えた。だからこそ、それに加えてあとほんの少し、澤田が言うところの「自信」が戻ってくれば――それが飛躍の瞬間なのかもしれない。

来年は「日本選手権で戦えるように」

「まだアメリカに行ってから結果が出せていないので、あんまり大きなことは言えないんですけど、挑戦することには絶対に価値があると思っています。でも、その先は自分の頑張り次第。いまはまだ試合でうまくかみ合わないことが続いていて、悔しいんですけど……今後はアメリカでクロカンシーズンが始まるので、またイチから鍛え直したいです。時間はかかるかもしれないですけど、頑張りたい」

 そう言って悔し涙をぬぐうと、澤田はハッキリとこう宣言した。

「来年は日本選手権で、しっかり戦えるようになりたいと思います」

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