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田中希実“圧巻の6連覇”のウラ側で…「世界大会入賞→米の名門大へ異例の進学」19歳になった元“天才女子高生ランナー”のいま「時間はかかるけど…」

posted2025/07/08 11:08

 
田中希実“圧巻の6連覇”のウラ側で…「世界大会入賞→米の名門大へ異例の進学」19歳になった元“天才女子高生ランナー”のいま「時間はかかるけど…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年9月にアメリカのルイジアナ州立大に進学した澤田結弥。高校時代はU-20世界選手権で6位入賞するなど日本中距離界次世代ホープのひとり

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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Yuki Suenaga

 4分19秒87。自己ベストからちょうど7秒遅れの9着で、予選落ち――。

 それが、日本選手権1500mを終えた澤田結弥(ゆや)(ルイジアナ州立大1年)の現在地だった。

「先月日本に帰ってきて、帰国して1週間くらいは気候に慣れなくてきつかったんですけど、ようやく練習もできてきていて。なので、単純に自分の実力不足だったのかな……と思います。今季のラストレースだったので、しっかり走りたかったんですけど」

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 レース後、優勝した田中希実(New Balance)と同組で走ったレースを、澤田はそんな風に振り返った。

U-20世界選手権で入賞…異例のアメリカ進学へ

 澤田は浜松市立高校時代の2022年に2年生ながら女子1500mで高校歴代2位(当時)の記録を叩き出した逸材である。

 同年のU-20世界選手権では、アフリカ勢を相手に1500mで6位入賞という結果も残している。高校から陸上を本格的にはじめた澤田にとって、わずか競技歴1年半での快挙だった。日本選手権でも高校時代の2022年、2023年の2度、決勝まで進出している(両大会とも10位)。

 U-20世界選手権後には、大会での積極的な走りを評価した複数の米国の大学からスカウトが舞い込んだ。

 結果的に澤田は昨年9月から、MLBやNBA、NFLでもドラフト上位選手を毎年、多数輩出する米国スポーツ界の名門大・ルイジアナ州立大(LSU)へと進学した。これまで女子のトップランナーが海外大へ進学を決めたケースはほぼない中で、異例の決断だった。

「U-20世界選手権で結果が出たことで、田中さんややり投の北口(榛花)さんの話を聞く機会があって。そういう中で自分も『世界を舞台に活躍したい』という思いが強くなった。それならアメリカに行こうと思って決めました」

【次ページ】 世界陸上の「主役候補」も同じ大学出身

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