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夫は広島カープ3連覇の名将、長女は声優に…元アイドル・緒方かな子52歳の“子育て3人時代”「家族会議を開いて…」“言葉が少ない”緒方孝市を心配
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/06/09 11:03

広島カープ3連覇の名将・緒方孝市の妻、緒方かな子52歳
緒方 高校1年の夏だったと思います。本人が急に「わたし慶応に行く!」と言い出したんです。自分で塾も先生も決めて、猛勉強して。そのあたりも主人に似てるのかな。ゴールから逆算してプランを立てて、それを実行して……みたいな。
だからてっきり、士業でも目指すのかなと思ってたんです。話すのも上手なので、周りの人からはアナウンサーに向いてるとも言われてました。それがいつの間にか演劇部に入っていて、「アナウンサーより声優かも」と思ったそう。養成所のオーディションを受けたら合格して、そのまま声優の世界に。主人も、大学を卒業するならいいと反対しませんでしたね。
夫の監督時代…「家族会議を開いた」
――孝市さんは2009年に現役を引退。その後14年までカープのコーチを務め、15年に監督に就任します。ただ1年目は4位と成績がふるいませんでした。
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緒方 あの人、絶対に愚痴は言わないんですよ。家で野球の話もしなかったですね。ただ、監督1年目にこんなことがありました。新聞に監督のコメントが載りますよね。それを読んで思ったんです。「記者の人とうまくコミュニケーションがとれてない気がする」って。主人はつっけんどんというか、いつも言葉が短いので、人によっては冷たく思われるかもしれない。でも悪気はないんです。それを本人にどう伝えるか、家族会議を開いたことがありました。
長女がコミュニケーション術の本をさり気なく主人の机に置いたり、私が思いをしたためた手紙を書いたり。厳しい言葉になったとしても、その裏にある思いを選手がきっと理解してくれるだろうと思って。そうしているうちに少しずつ主人の言葉も増えていった気がします。ただ、畝(龍実)さんや高(信二)さんといった、主人を理解してくれる方々がコーチとして支えてくれたので、家族会議より、そのおかげ説の可能性が高いですけど。
「この生活を続けていたら主人は死ぬ」
――そうして2016年から18年までカープ3連覇。じつに5シーズンにわたって監督を務めました。
緒方 身を削ってましたからね。今だから言えるんですけど、「この生活を続けていたら主人は死ぬだろうな」。そう思ってました。
〈つづく〉

