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伸び悩む菊池雄星に「お前はどっちがええねん」西武・炭谷銀仁朗が新聞記事を手に諭した日…“涌井秀章から武内夏暉まで”「投手との対話術」 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/06/03 11:03

伸び悩む菊池雄星に「お前はどっちがええねん」西武・炭谷銀仁朗が新聞記事を手に諭した日…“涌井秀章から武内夏暉まで”「投手との対話術」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

若き日の菊池雄星と炭谷

雄星に尋ねた「どっちがいいねん」

 炭谷は懐かしそうに当時を振り返る。

「とにかく雄星は三振と球のスピードにこだわっていたんですよ。でも、それでは毎イニング、クローザーみたいなピッチングを繰り返すことになる。そのせいか、なかなか勝ち星につながらない。そこで『どっちがええねん』って聞いたんですよね。別に奪三振王を獲りたいならそれでいいよって。ただ、それじゃ勝ち星は伸びないよ、チームのためにはならんよって言いました。どっちを選択するかは雄星に任せるよって」

 同時に、当時、広島カープに在籍していたクリス・ジョンソンの新聞記事を菊池に見せた。菊池がメジャーで活躍するクレイトン・カーショウ(ドジャース)に心酔していることを炭谷は知っていたのだ。

見せた新聞記事の真意

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「カーショウと同じタイプの投手、ジョンソンが完封した翌日の新聞記事でした。その日、ジョンソンはバンバン三振を取っていたんですよ。でも記事のコメントには『私は三振を取るタイプのピッチャーじゃない。私はチームの勝利に貢献できたことのほうがうれしい』みたいなことが書いてあったと記憶しています。その記事を見せて、説明して、お前はどっちがええねん、って言った覚えがありますね」

 菊池は考え方を変え、スピードや三振数にこだわる姿を見せなくなったという。

 その後、菊池は2016年には12勝、2017年には16勝を挙げて最多勝利投手賞を受賞し、炭谷とのコンビで最優秀バッテリー賞も獲得した。続く2018年にも14勝を記録して、翌年、メジャーリーガーとなった。〈つづく〉

#2に続く
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