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獅子の遺伝子BACK NUMBER
伸び悩む菊池雄星に「お前はどっちがええねん」西武・炭谷銀仁朗が新聞記事を手に諭した日…“涌井秀章から武内夏暉まで”「投手との対話術」
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/06/03 11:03
若き日の菊池雄星と炭谷
投手の性格を知り、その投手によってかける言葉やリードを変える。過去19年間のプロ野球生活でそのテクニックを育んできた。
「自分が若いときは、そこまで気にしていなかったです。たとえば菊池雄星(エンゼルス)とか、岸孝之さん(東北楽天)なども菅井と似ていて、悪い方へ考えてしまうところがありましたけど、勝ち星が付くことで自信になって、払拭されていきました。
今はめちゃくちゃ考えますね。どんな言葉を菅井にかけてあげればいいか、試合中にはどういう伝え方をしてあげたらいいか、試合の前にはどうやって頭をすっきりさせてあげたらいいか、たくさんのことを考えるようになりました」
高卒1年目で異例の大抜擢
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炭谷は2006年に高校生ドラフト1巡目で西武ライオンズに入団。高卒1年目にして開幕戦でスタメンデビューを果たす。経験が必要なポジションだけに、異例の大抜擢だった。涌井秀章(中日)や菊池、岸ら多くの好投手をリードするなかで、キャッチャーとしての心構えや配球の技を磨いていった。
長い捕手生活のなかで一番印象に残る投手を聞くと「全員ですね。やりがいがあったし、楽しかったですよ」と即座に答えが返ってきた。
「たまに何を言っても聞いてくれない外国人投手とかもいましたけど、そういう人はね、もう勝手にやってくれよって感じで(笑)。良い投球をするためのコミュニケーションが取れない人というのは組んでいても全然楽しくないですよ。やはりいろいろ話し合って、試して、試合に臨めることで、そういう相手とは失敗しようがうまいこといこうがバッテリーを組んでいて楽しいですね」
「なぜ涌井さんの時は僕だったのか…」
2009年に最優秀バッテリー賞を受賞した涌井とのコンビが真っ先に頭に浮かぶ。しかし特別な思いはないと語る。


