16歳の高校生プロレスラー、“流血デビュー戦”の舞台裏…「バックステージでギュッと手を握り…」心希が母・大向美智子と歩んだ二人三脚

　母親の解説付きでデビューした新人レスラーというのは、かなり珍しいのではないか。

　5月24日、女子プロレス団体マリーゴールドのビッグマッチ。会場は代々木第二体育館だ。メインイベントでは“女子プロレス界の人間国宝”高橋奈七永が引退試合を行なった。その大会の第1試合に登場したのが心希(しんの)。16歳の高校2年生だ。

「高校を卒業してからのデビューでもよかったんですけどね」

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　そう語ったのは母の大向美智子。人気、実力を兼ね備えLLPW、アルシオンで活躍した。結婚、引退して現在は山口県在住。地元の大会ではマネジャーとしてその姿を見せてきた。

　娘の心希はアイドルを目指していたそうだ。学校ではダンス部に所属。だが昨年、母と同じプロレスラーになる決心をした。きっかけになったのは、1月に開催されたアルシオンのイベントだ。曖昧な形で活動を終えていた団体の“卒業”を形にする大会。限定復帰としてリングに立った母の闘いが、心希の気持ちを動かした。

昨年1月に行われた母・大向美智子の限定復帰戦を見て、娘・心希の気持ちは動いた

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デビューが決まり、母と二人三脚で練習してきた

　5月にマリーゴールドが旗揚げすると、7月の両国国技館大会で入団発表。母とリング上に並んで挨拶した。東京での練習は夏休み、冬休みなど学校が休みの期間を利用して。普段は山口に住んでいるから、やはりじっくり実力をつけて高校卒業後のデビューというのが現実的だった。

　ただ練習を重ねる中で、マリーゴールドの精神的支柱でもある高橋の引退が決まる。対戦は叶わなくても、同じ大会のリングに上がりたい。心希の願いを受けて、5月24日のデビューが目標になった。母娘での練習にも熱が入る。

マリーゴールドへの入団が決まり、母と並んで挨拶を行った心希

　地元の毛利道場（RIZINで活躍する摩嶋一整も所属している）では空手を9年、学んできた。そこにプロレスのリング練習が加わる。片道2時間の移動、車で送り迎えするのも母の役目だった。もちろんプロレスの指導も。

「学校まで迎えに行くんですよ。部活が終わってから練習という時もあって。休みなし、寝る時間も削ってという感じでしたね」

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