野球のぼせもんBACK NUMBER
「松坂さんの記録を超えなければよかった」甲子園最速の158キロで“21世紀の怪物”と言われた寺原隼人、24年越しの告白…「スーパールーキー」その後の人生
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2025/06/02 11:02
現在はホークスの3軍投手コーチを務める寺原隼人さん(41歳)
ソフトバンクで3軍投手コーチを務める現在
ここで選手生活に区切りをつけたはずだったが、独立・九州アジアリーグの福岡北九州フェニックス(現北九州下関フェニックス)でコーチを務めていたときに選手兼任で“復帰”を果たして2試合でマウンドに上がっている。最速142キロを投げて健在ぶりをアピールしたこともあった。
2024年からは古巣・ソフトバンクのファームで投手コーチを務めており、今季は3軍を担当している。
「自分のルーキー時代を振り返って、こうしておけば、ああしておけばと思うことは少なからずあります。ひと言でいえば知識不足でしたし、まだ若いから何とかなるだろうと考えてしまったのもありました。自分の経験を今の若い選手に伝えるのは当然。だけど、今の子たちは動画などでたくさんのことを勉強している。そういった環境が整っているし、球団のサポート体制も昔とは段違いです。なので、あまり心配していません。せっかくの環境を生かさない選手がいれば指摘しようと思いますが」
ADVERTISEMENT
奇しくも今年のソフトバンクには、寺原のプロ入団時と同じ背番号20の高卒右腕がドラフト1位で入団してきた。神戸弘陵出身の村上泰斗である。
「ソフトバンクは選手層も厚いですし、高卒1年目はまず土台づくりからスタートします」
5月になってまずは4軍で“プロ初登板”を果たした村上は、その後3軍に合流して寺原が見守る前でも登板した。同11日の徳島インディゴソックス戦では直球で153キロをマークしてみせた。
「レベルが高い投手。楽しみですよ」
1人でも多く、怪物と呼ばれる投手を羽ばたかせていく。それが寺原にとっての、野球界への恩返しだ。《インタビュー第1回、第2回も公開中です》

