「お前、全然アテにされてないぞ」1994年近鉄主力と首脳陣の間の“微妙な風”と“真逆の野球観”…「野茂英雄はずっと怒っていました」 

メンバー切り替えの“風”

「仰木さんが去った後に、やっぱり、あの辺（高村、江坂）がどんどん抜擢されているんだよね。なんとなく、そういう“風”はすごく感じた。俺たちも、そういう空気を出していたのかもしれないけどね。小野とかも多分同じ思いだったんじゃないかな。金村さんもいなくなって、山下さんも日本ハムに行って、高柳もいなくなった。（山崎）慎太郎もその後くらいだろ？　残ったの、大石（大二郎）さんくらいじゃない？

　野茂も、そういう方向に行くべくして、なっていったような……。もう、野茂だけが、という話じゃなかったし、みんな、何かしら感じている部分があったよね」

　若手への切り替え、チームの新陳代謝という、そうした無難なフレーズでは決してまとめ切れないような、どこかしら、腑に落ちづらい雰囲気すら漂っていた。

現在の阿波野秀幸　©Hirofumi Kamaya

鈴木イズムに沿わないベテランが…？

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　投げろ、走れ、もっと練習しろ。

　その“鈴木イズム”に沿わない中堅、ベテラン組への冷遇が、最終的に放出へとつながっていったと見るのは、ちょっと邪推が過ぎるだろうか。担当記者として、チームのことに関して、鈴木に話を聞く機会は当然多かったが、その際、鈴木が具体的にベテランを名指しして、批判するようなことはあまりなかった記憶がある。

　しかし、そのイズムに全くもって合わない、真逆の存在が野茂であることは、チームメートも、そして番記者でさえも感じていた“共通認識”でもあった。

Numberに見えた、鈴木の野球観

Number714号の表紙

　2008年10月30日発行のNumber714号「野茂英雄のすべて」は、その3カ月前に現役引退を発表したばかりの野茂の「引退記念特集」だった。

　その中に、元近鉄監督・鈴木啓示の述懐がある。抜粋してみたこの部分を読んでみただけで、野茂と鈴木の“野球観”が、全く違う方向を向いていたのは一目瞭然だ。

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