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元横綱稀勢の里 二所ノ関親方が徹底解説
第29回:妙義龍「独特だった“下から下へ”」
posted2025/05/16 09:00

text by

二所ノ関寛Hiroshi Nishonoseki
photograph by
Takayuki Ino(Illustariton)
今回は、昨年の九月場所を最後に引退した妙義龍関です。私と妙義龍関は1986年生まれの同い年で、私は中卒で相撲界に飛び込みましたが、妙義龍関は日体大を卒業してから境川部屋に入門しました。初対戦は2012年の三月場所。それ以来、私が16勝、妙義龍関が5勝という対戦成績となりましたが、私からすると、とにかく「くせ者」という感じでしたね。
妙義龍関といえば、立ち合いでぶつかり、低いところから相手を根こそぎ押し上げるような、突き押しを得意としていました。ただ、私としては右差しを得意とする力士という印象を持っていました。右を差した瞬間、スイッチが入るというか、ギアが変わる感じで、そこから一気に押し込まれかねない感覚がありました。
