「正直やばいかも…」井上尚弥が2度目の被弾「リングで死ぬ覚悟がある」挑戦者カルデナスとの“あまりに濃密な一戦”を元世界王者が斬る！

窮地に立たされた挑戦者カルデナスの心情

　ラモン・カルデナスは2ラウンドに左フックでダウンを奪うものの、ペースは王者・井上尚弥が掌握していた。窮地に立たされた挑戦者は5ラウンド途中から徹底して固めていたガードを下げるという行動に出る。

　飯田覚士はカルデナスの心情をこう読み解く。

井上尚弥vs.ラモンカルデナス戦を徹底解説した元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏　©︎Toshio Ninomiya

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「このラウンドからL字ガードを使い分けるようになったんですよね、彼は『リングで死ぬ覚悟がある』とコメントしていましたし、誘って相打ちを狙っていくしかないと考えたのではないでしょうか。尚弥選手もガードが下がってきてルーズっぽくなりかけていて、カルデナス選手が“打つぞ”とフェイントを掛けたら、尚弥選手のガードもふっと上がったら一度下がるんです。ここを狙っていたんでしょうね。フェイントして上げておいて、下がるところを左フックで狙いにいきました。ただ尚弥選手は、それを分かっていたのか難なくかわしていくんですよね。お互いの細かい駆け引きが伝わってきて、一つひとつの攻防は実に味わい深いものがありました。

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　6ラウンドのちょうどハーフタイム過ぎたあたりで尚弥選手の右が当たって、カルデナス選手が後退するシーンがありました。ここからまた耐えて、右、左と強振してくるんですけど、尚弥選手はちゃんと警戒しながら、相手の反応を見ながら打ち込んでいくわけです。コンビネーションのスピードが少し遅く見えたのはおそらくそういう理由です。逆にロープを背負う場面もありましたが、これも“背負わされた”ではなく“自分から背負った”感がありました。カルデナス選手がカウンターを狙うなら自分だって狙ってやろう、と。そして最後はロープに釘付けにしてスピードを上げて打ちまくった。相手のやりたいことを封じて自分のやりたいことをやった尚弥選手が凄いなと思った一方で、これを意地でしのいだカルデナス選手も凄かった」

6ラウンドで井上の攻勢を受けカルデナスは後退　©︎Hiroaki Finto Yamaguchi

井上尚弥のピンチ「正直やばいかも…」

　強打で削られ続けても、攻め手を封じ込まれてもカルデナスの心はまったく折れない。一発逆転をあきらめてはいなかった。インターバルの際、ラウンド終盤に「打ちまくった」こともあって椅子に腰かける井上の呼吸が少し荒くなっていた。両者とも疲労の色が垣間見えるようになったなか、最大の激戦となる7ラウンドが始まる。

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