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DeNA入江大生“涙のハマスタ帰還”「野球界初の手術」から597日ぶり一軍登板…今永昇太・山﨑康晃らに支えられ「投げられるのは幸せだな」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/21 11:03

肩の手術から復活した入江大生。最速157キロの直球は健在でプロ初セーブも挙げた
「なんだろうなあ。やっぱり待ち望んでいた景色だったので、見ることができてよかったですし、とにかく(チームから)離れていても待っていてくださったというのが、本当に嬉しかった」
試合後、メディアの囲み取材が終わり、入江のもとに向かうと、安堵した表情で「いやもう、ぶっ壊れるまで投げますよ」と、半分冗談ではあるが物騒なことを言った。でも、それぐらいの気持ちであることは強く伝わってきた。
「1日1日を全力で過ごして、それでダメだったら、それは自分の実力不足なのでしょうがない。本当、なにが必要なのか日々考えて成長していきたい。なんかテレビで(試合を)見ているだけじゃなにもできないけど、こうやって現場にいればなにかできるじゃないですか。だから、1日を大事にしたいんです」
入団以来、度重なった故障
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プロ5年目、2020年のドラフト会議で1位指名され期待を背負った入江だったが、度重なるアクシデントでここまでの実働時間は決して多くはない。ルーキーイヤーは先発として4試合に登板すると、夏に右肘のクリーニング手術を受け不完全燃焼でシーズンを終えた。翌2022年にリリーフとして57試合を投げブルペンを支えたが、2023年になると開幕当初から右肩に違和感があり、8月に戦線を離脱してしまう。そして2024年は春季キャンプ前半までは順調だったものの、再び右肩に異常があり5月にクリーニング手術を受けた。
入江は自戒を込めながら語る。
「自分の認識の甘さというのか、体のトリートメントだったり、ケアの部分で本当に鈍感だったんです。なにせアマチュア時代に一度も怪我をしたことがなかったので、自分は大丈夫だろうと思っていたけど、そんなことはありませんでしたね……」
手術を決断するまでには時間を要した。肩回りのトレーニングを徹底してやり、またセカンドオピニオンやサードオピニオンも求めて熟考を重ねた。結局、あらゆることを施しても肩の違和感は抜けることなく、手術しなければ回復は見込めないことがわかった。投手にとって肩にメスを入れることは選手生命を揺るがしかねないが、やらなければ平行線のままだった。