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「田舎町の“天才少年”が…」マスターズ制覇マキロイ35歳“まるで漫画”みたいな人生「タイガー・ウッズとは違う天才」「17歳石川遼とトリオ結成」
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舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byL)Splash/AFLO,R)Getty Images
posted2025/04/15 11:02

初のマスターズ優勝を飾ったロリー・マキロイ(35歳)。田舎町の天才少年がタイガー・ウッズ以来、25年ぶりに史上6人目のグランドスラムを達成した
自身3度目の出場となった2011年マスターズには、その幼馴染の恋人や母国の友人たちをオーガスタに呼び寄せ、民家を借りて、みんな一緒に楽しく滞在していた。
そして、マキロイは最終日を単独首位で迎え、首位を快走。マスターズ初優勝ににじり寄った。
しかし、折り返し直後の10番でティショットを大きく左に曲げ、ボールは林の向こう側の民家の庭まで転がり込んで、トリプルボギーを喫した。
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そこから先はガラガラと崩れ落ち、80を叩いて15位タイに甘んじた。
落胆と失意の底に突き落とされたマキロイは、最終日の深夜、母国に居た父親ゲリーに電話をかけ、一晩中、泣き続けた。
父親ゲリーは、どんな言葉で息子を励ましたのか。
「何かを学びさえすれば、負けは、いつか必ず勝ちに変わる」
父の言葉を信じ、父の言葉を胸に抱き、あれから14年、マキロイは努力と試行錯誤を続けてきた。
マスターズで悲願のグランドスラム達成
大敗を喫したマスターズから、わずか2か月後に全米オープンを制し、2012年には全米プロ、2014年には全英オープンと全米プロで勝利を重ね、メジャー優勝は通算4勝へ。
父の言葉通り、あのマスターズでの「負け」が、マスターズ以外の3つのメジャー大会での「勝ち」に変わったが、オーガスタ・ナショナルでは、父の言葉はなかなか実現されず、それどころか、あの日の「負け」は、トラウマ化して、さらなる負けにつながっていった。
しかし、今年のマスターズでは、とうとう、あの日の「負け」が「勝ち」に変わった。
あの日、あの夜、父親ゲリーから贈られた励ましの一言が今日の日のマスターズ初優勝とキャリアグランドスラム達成につながったことを、強く感じ、感謝の気持ちでいっぱいだったマキロイは、だからこそ、表彰式では、今度は自分が父親として娘にこんな言葉を贈った。
「夢をあきらめないでほしい。何度も挑み続け、何度もがんばり続ければ、きっと夢は叶うから」
純朴だった天才少年は、マスターズ・チャンプとなり、グランドスラマーとなった今でも、ピュアなロマンチストだ。
