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「田舎町の“天才少年”が…」マスターズ制覇マキロイ35歳“まるで漫画”みたいな人生「タイガー・ウッズとは違う天才」「17歳石川遼とトリオ結成」
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舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byL)Splash/AFLO,R)Getty Images
posted2025/04/15 11:02

初のマスターズ優勝を飾ったロリー・マキロイ(35歳)。田舎町の天才少年がタイガー・ウッズ以来、25年ぶりに史上6人目のグランドスラムを達成した
第2打をバンカーに入れたマキロイは、そこからの脱出に失敗。ボールはまだバンカー内に留まっていた。
そのとき、「マキロイは怒りに任せてバンカーの中の砂を蹴り上げた」という嫌疑がアテスト後に浮上。本当に蹴ったとすれば、ハザード内の状態をテストしたことによるペナルティが科せられ、過少申告で失格になるところだった。
しかし、マキロイは「あれは蹴ったんじゃなくて、砂につけた自分の足跡を直すために靴底でなぞっただけだ」と答え、ゴルフの基本理念である「自己申告」を重視したオーガスタ・ナショナルは、マキロイの主張を認め、おとがめなしの結論を出したのだが、弱冠19歳とは思えないほどのマキロイのプロゴルファーとしての巧妙さ、したたかさに驚かされた世界のメディアは少なくなかった。
大胆発言、ロマンチストな一面も
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その後、好成績を重ねていったマキロイは、米ツアーの昨年の賞金ランク150位と同等以上の賞金を稼ぎ、特別テンポラリーメンバーシップがもらえる位置まで浮上した。
だが、マキロイは米ツアーメンバーになることを、あえて拒否。「今年はあくまで母国を含む欧州ツアー主体でプレーしたい」が理由だった。普通なら、大喜びでもらうはずの米ツアー出場資格を、あっさり「要らぬ」と捨ててしまったマキロイ。「なんて生意気な!」と見られたりもしていたが、彼には彼なりのプランがあった。
まずは主戦場をどことは決めず、世界を十分に眺めまわした上で、最終的にどうするのが得策か、どうすれば世界一への道が最短距離になるのかを見極めるつもりだったのだ。強い自信に裏打ちされていたからこそ、なせるワザだった。
その翌年には、こんな話もあった。結局、PGAツアーのメンバーシップを獲得したマキロイだったが、2010年の暮れに米国から撤退して欧州のツアーに専念すると発表した。そんな決意の陰には、北アイルランドの地元で暮らす幼馴染の恋人と一緒に過ごす時間を多く作り出したいという気持ちがあったと言われている。
純朴な天才少年には、プロゴルファーとして生き抜くための巧妙さ、したたかさもあったが、彼は優しい一面を持つロマンチストでもあったのだ。