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巨人が大谷翔平と鈴木誠也をドラフト指名できなかった決定的理由…「もし菅野智之を前年に獲れていても」「誠也は“4位以降なら”だった」
posted2025/04/10 11:02

日本ハムからドラフト1位指名を受けた、花巻東・大谷翔平。巨人が指名できなかった理由とは
text by

長谷川国利Kunitoshi Hasegawa
photograph by
Takashi Shimizu

《2012年 2年越しで獲得した菅野》
楽天・星野監督の横やりが怖かった「菅野1位」
この年も2009年の長野と同じで、年初から1位は菅野でいくことが決まっていました。
日本ハムの指名を拒否して東海大に1年残る決断をしていた菅野は、練習することはできても1年間公式戦に出ることはできませんでした。その辺がホンダに残っても試合に出ることができた長野の時と状況が異なっていました。ですので、私の東海大時代の同級生でもある横井人輝監督は、オープン戦で親交の深いチームと対戦した時などには少し長いイニングをお願いして、菅野の投げる機会を作ってもらうようなこともしてくれていました。
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私が練習やオープン戦でのピッチングを見に行っても、その体つきからもしっかりトレーニングを積んでいることは分かりましたし、ボールも前年と比べて全く遜色ありませんでした。本人も大変だったでしょうが周囲の協力などもあったお陰でしっかり練習もできて、よく状態を維持してくれたと思います。浪人という立場ではありながらも、前年のドラフト時と同じように即戦力として変わらずに評価しました。
タツ、うちは決めたぞ。1位は菅野でいく
さすがにこの年は他球団も指名してくることはないだろう。
そう思って迎えたドラフト当日。ドラフト会議が行われるホテルのエレベーターで楽天の星野監督と一緒になった時のことです。
星野さんが原監督に向かって「タツ、うちは決めたぞ。1位は菅野でいく」と言ったのです。直ぐに冗談だということは分かりましたが、内心では「勘弁してくださいよ」と思いましたね(笑)。それでも前年の日本ハムの山田さんのこともありましたから、楽天の1位指名が読み上げられるまではちょっと落ち着きませんでした。
結局楽天が指名したのは東福岡の左腕、森雄大。他球団からの指名もなく、無事に菅野を単独指名することができました。決まった時は本当にほっとしました。
菅野への指名の挨拶が終わった後、原沢敦球団代表と私の間でこんな会話がありました。