欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「脱ぐと筋骨隆々な肉体で」「ゴールで響く“タクマ・アサノ”コール」日本代表未招集も…カメラマンが見たFW浅野拓磨のマジョルカで愛される姿
text by

中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/03/30 11:02

Aマッチウィーク前のリーガで今季2ゴール目をマークした浅野拓磨。日本代表にこそ未招集だったが調子を上げている
無得点のまま迎えた後半、53分に相手CKに反応したムリキのオウンゴールで失点してしまう。この時の様子を浅野は「下を向かなかった。勝負に出ることを続けました」とコメントしているが、意気消沈したサポーターもいた。62分には、浅野のクロスがボックス内での相手ファウルを誘発、PKを獲得する。ただこのPKはエースのムリキが相手GKジョアン・ガルシアに止められてしまったのだが――。
65分、スタジアムの空気を一変させる浅野のゴールが生まれた。流れの中から10番セルジ・ダルデルのクロスに瞬時に反応、身を投げ出すように頭で合わせた。あくまで同点ゴール。勝利を目指すというシチュエーションにより、ジャガーポーズは封印されたが、仲間たちから熱い祝福を受けた。
またゴール裏サポーターからは、野太い〈Takuma Asano〉コールが鳴り響いた。
ヨーロッパ戦線圏内へ浅野の働きは大きかった
ADVERTISEMENT
75分、エスパニョールボックス内の混戦から一度はマジョルカにPKが与えられたが、VARによって取り消しに。運動量の増えた浅野は84分に選手交代でピッチをあとにした。そして88分、交代出場のアブドンがボックス内で倒されPKを獲得。試合終了間際のPKに勝利を確信するサポーター、選手の姿があったが……。
アブドンの蹴ったPKはまたしてもガルシアに弾き返され、こぼれ球に反応したシュートもガルシアの片腕で弾き返された。2本のPK失敗で勝ち点2を失ったと誰もが感じていたはずだが、VARによってゲームが止まると、守備陣の足はラインの外だが身体がボックス内に入っているという、極めて細かい判定によりPKのやり直しが宣言される。
キッカーには、1度目のPKを失敗したムリキが再登場。流石のガルシアも3本目のストップとはならず、マジョルカが追加点を奪い、勝ち点3を獲得した。
浅野を含めたベンチからも選手たちが飛び出しゴールを喜び、またムリキはオウンゴール、PK失敗を謝った後ゴールセレブレーションとなった。
判定に時間がかかったこともあり、ムリキのゴールは公式で97分、PKの判定から10分弱経ってのことだった。