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最速マシンゲットで死角なしのマルク・マルケス、今季初戦で完全Vなるか? ホンダとヤマハも復調気配のMotoGP開幕直前レポート《3月2日決勝》
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2025/02/28 11:03

派手さはなくとも、テストでは好調ぶりをうかがわせたドゥカティのマルケス
頑張ってることを強烈に感じさせてくれるもうひとりのライダーに、マルケスの弟のアレックスがいる。苦戦が続いたホンダ時代の彼の走りは、いつも胸を熱くさせた。ビリを走っていても最後の1周まで力を抜かない。ドゥカティへの移籍が決まってからもそれは変わらず、ホンダでの最終戦でも最終ラップまでベストを尽くしていた。その心意気というか、志の高さにいつも感心させられる。
そのアレックスがウインターテストで素晴らしい走りをしていた。今年はドゥカティに乗って3年目のシーズン。マルクとの兄弟表彰台が何度も見られるかもしれない。
そしてホンダもウインターテストで復活を感じさせた。まだ一発だけの速さという印象だが、それでもジョアン・ミルが、トップ10内の常連になった。マレーシアではトップから0.786秒差の8番手。続くタイでは0.544秒差の6番手と、23年にホンダ入りしてから最高のリザルトでテストを終えた。どん底を味わったホンダが復活に向けてスタートを切ったと言える。
母国でMotoGPデビューのチャントラ
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ホンダ勢にはIDEMITSU Honda LCRから出場するタイ人のソムキアット・チャントラもいる。2年連続でタイGPが開幕戦の舞台になったのも、タイ人初のMotoGPライダーが誕生したことが一番の理由である。チャントラは今季アプリリアのサテライトチームの「トラックハウス」から出場する小椋藍の、ホンダチームアジア時代のチームメートで、日本人には馴染みあるライダーだ。Moto2クラスで通算2勝を挙げてMotoGPクラスのシートを獲得した。
そのチャントラはテストで持ち前の元気あふれる走りを披露。マレーシアではトップから1.636秒差の19番手。タイでは開幕戦に向けてロングランを中心としたメニューでトップから1.610秒差の20番手。ルーキーとしてはポジション以上に内容あるテストとなり、今季の成長が注目される。
MotoGPライダーになることが「子供のころからの夢だった」というチャントラが、デビュー戦となるホームGPで大会の主役になることはまちがいない。
アプリリアに移籍してMotoGPクラスデビューを迎える小椋藍のテストでの好調はすでにお伝えした通り。ドゥカティ全盛時代に変わりはないが、いよいよ開幕する2025年シーズンは、大きな変化が生まれる1年になりそうだ。
