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最速マシンゲットで死角なしのマルク・マルケス、今季初戦で完全Vなるか? ホンダとヤマハも復調気配のMotoGP開幕直前レポート《3月2日決勝》
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2025/02/28 11:03

派手さはなくとも、テストでは好調ぶりをうかがわせたドゥカティのマルケス
これまでマルケスを支えてきたビッグスポンサーはレッドブルだった。しかし、ドゥカティワークスのスポンサーは、レッドブルのライバルであるモンスターエナジーだ。果たして、どう両立させるのだろうと多くの関心を集めたが、マルケスは昨年末に「レッドブルとの関係は24年シーズンで終了する」と語り、ウインターテストではヘルメットからレッドブルのロゴが消えた。その一方でドゥカティのスポンサーであるモンスターエナジーのロゴは指定通りの位置に貼られているだけだ。
マルケスは17年にオーストリア・キッツビュールのスキー場で、スパイクタイヤを装着したMotoGPマシンRC213Vで雪上を疾走した。これはレッドブルのPR撮影だったのだが、撮影を終えたマルケスは訪れていたレッドブルの創業者の故ディートリヒ・マテシッツさんにヘルメットをプレゼントした。それに感激したマテシッツさんが、「これまで何十人ものF1ドライバーを育ててきたが、こんなことをしてくれたのは君だけだ。レッドブルが一生、あなたの面倒をみよう」と白紙の小切手を渡したという嘘のような逸話を関係者から聞いたことがある。
あれから月日は経ち、いろいろと状況は変わっているが、マルケスはモンスターエナジーからのオファーを断っているし、レッドブルとしてはマルケスの7回目のタイトル獲得をいろんな形でサポートしていることに変わりはない。いつか、再び、マルケスがレッドブルのライダーとしてコース上を走ることもあるのではないだろうか。
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ドゥカティワークスに加入した今年はマルケスにとって勝負のシーズンとなるが、得意とするブリラムで開幕戦を戦うのはかなりの追い風になったことは間違いなく、予選、スプリント、決勝レースとすべてを制する可能性も高い。そして、これまでドゥカティのエースとして君臨してきたバニャイアとの一騎打ちにも注目したい。
ホンダとヤマハは復調気配濃厚
今年は低迷を続けてきた日本メーカーの復活も注目されている。
まず最大の注目は、ヤマハのファビオ・クアルタラロの復調である。過去2年はタイトル争いから遠ざかっていたが、ウインターテストではフロントロー、優勝争いの常連だった3年前までの速さを取り戻しつつあり、表彰台の常連復活へ期待を感じさせた。過去2年、王座から遠ざかっているクアルタラロだが、いつでもどこでも全力を尽くしてきた。コースサイドでカメラを構えていて、応援したくなるライダーのひとりである。