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「何かと批判されるが…」26歳那須川天心は世界王者になれるのか? 米ボクシング専門家たちの見解「タイプは違うが、辰吉丈一郎を思い出した」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2025/02/27 17:01

ジェーソン・モロニーに判定勝ちを収めた那須川天心(26歳)
DS 最後に堤対比嘉戦の話もしていきたいですね。親友対決のリマッチは期待通りの激闘になり、ダウン応酬のバトルは多くのファンを感動させました。日本リングで語り継がれていくような戦いであり、特に9ラウンドの興奮は言葉では語り尽くせない程のものがありました。
TG 4ラウンドに堤が顔面をカットしたことから始まり、本当に多くのことが起こった一戦でした。両者がダウンを交換しあった9ラウンドは2025年の“年間最高ラウンド”の有力候補。特に比嘉が堤をダウンさせた左フック、堤が比嘉を前のめりに倒した右カウンターはどちらもフィニッシュブローになってしかるべきパンチだったと思います。そこから立ち上がり、その後も戦い続けた2人は驚異的でした。
後半の堤の追い上げは印象的であり、私の採点では堤の勝利。技術面で堤が上回っており、王者が判定防衛を飾ってもしかるべき内容に思いました。リングサイドにいたダイスケはどう見ていたのでしょう?
「ボクシングの採点の難しさを感じた」
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DS 前半は比嘉のジャブが最も有効なパンチだったように思え、その効果を評価してほとんどのラウンドで比嘉優勢と見ました。そのままいけば比嘉の判定勝ちペースだった中で、9ラウンドにダウンを奪ったことでペースが変わったように思います。これはリングサイドですぐ近くに座っていた元世界王者・伊藤雅雪さんと意見が一致したのですが、比嘉にとってあそこでダウンを奪ったことは必ずしもプラスに働かなかったのではないかと。
ともあれ、9回以降をすべて堤に振った上でも比嘉の僅差判定勝ちかドロー。リングサイドはそういった採点が多かったので、動画配信を見た海外のメディア、ファンがほぼ満場一致で堤優位と採点していたことには少し驚かされました。昨年1月、アルテム・ダラキアン対ユーリ阿久井政悟のWBA世界フライ級タイトル戦でもリングサイドと動画視聴者の意見が大きく食い違ったことがあり、ボクシングの採点の難しさを改めて感じる最新の一例になりました。王座を保った堤には今後、どういったマッチメイクを期待しますか?
TG これで堤対比嘉は2試合連続ドローとなり、ラバーマッチを望む声も出てくるのかもしれません。ただ、私個人として先ほども述べた通り、今戦は堤の勝利と見ました。次戦では違う相手とのフレッシュなカードを望みたいですね。中谷同様、統一戦路線に進んでくれるのならそれがベスト。階級全体が4団体統一の方向に流れるのが理想でしょう。好戦的で十分なスタミナを備えた堤なら他の相手とも好ファイトを生み出してくれるはずですし、これから先の活躍も楽しみにしておきたいところです。
〈前編「中谷潤人 衝撃KOレビュー」から読む〉
