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「何かと批判されるが…」26歳那須川天心は世界王者になれるのか? 米ボクシング専門家たちの見解「タイプは違うが、辰吉丈一郎を思い出した」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2025/02/27 17:01

「何かと批判されるが…」26歳那須川天心は世界王者になれるのか? 米ボクシング専門家たちの見解「タイプは違うが、辰吉丈一郎を思い出した」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

ジェーソン・モロニーに判定勝ちを収めた那須川天心(26歳)

TG  私の採点では96-94で那須川の勝利でした。見応えのある試合でしたが、モロニーの勝利やドローはあり得ない戦い。モロニーの右でダメージを与えられた1、6回以外、那須川が技術面で主導権を握っていたと思います。確かに98-92というスコアは少々ワンサイド過ぎたと思いますが、6-4か7-3で那須川にアドバンテージがあった試合という認識です。

「比嘉との対戦も…」今後のマッチメイクは?

DS 私も96-94か97-93で那須川でしたね。試合後、那須川本人が言っていたことですが、彼はスピードと手数を生かしてポイントを取るのがうまいのが長所の一つでした。モロニーが逆転を狙って前に出た最終ラウンドですらもボディブローでダメージを与えていたので、個人的には98-92という採点もクレイジーではなかったと思います。

 この試合が119パウンドのキャッチウェイトだったという話もノンタイトル戦ではよくあること。当初から両陣営が契約ウェイトに合意していたのであれば問題があるとはまったく思いませんが、その点も少なからず物議を醸していました。知名度の高い那須川は毀誉褒貶が激しく、何かと批判も浴びがちで、今後のマッチメイクも難しそう。トムは今後、那須川はどういう路線をいくべきだと考えていますか?

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TG 試合後、WBO王者の武居由樹がリングに上がっており、「武居対那須川」を実現させる方向に動いていくと考えるのは自然です。那須川が貴重な経験を積んだのはすでに話した通りですが、モロニーと武居はタイプがまったく違います。那須川はまだ26歳であり、世界戦前にまた違ったスタイルの選手とのテストマッチをあと何試合か行っておくのに越したことはありません。実現可能な対戦なのかはわかりませんが、この日のアンダーカードで堤と引き分けた比嘉との戦いは適切なマッチメイクかもしれません。

 そういった手順を踏まずに那須川に次戦で武居に挑戦させるのであれば、私は武居の判定勝利を予測します。これが2026年の世界挑戦となれば、予想も変わる可能性が出てきます。キックボクシングで実績がある那須川はボクシングでも最短路線を行っている印象があり、多くの調整試合を挟むのが難しいのは理解できます。そんな背景の中で、今後のマッチメイクには私も注目しています。

【次ページ】 堤vs比嘉は“年間最高”の有力候補

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