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「これは早い段階で決着する」元世界王者・飯田覚士が予感…“王者”中谷潤人と“挑戦者”クエジャルの決定的な差「パンチのねじ込み方がエグい」

posted2025/02/27 17:03

 
「これは早い段階で決着する」元世界王者・飯田覚士が予感…“王者”中谷潤人と“挑戦者”クエジャルの決定的な差「パンチのねじ込み方がエグい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

28戦全勝の挑戦者クエジャルを下し無傷の30連勝を飾った王者・中谷潤人。王者と挑戦者の勝敗を分けた決定的な差とは…元世界王者の飯田覚士氏が徹底解説した

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Takuya Sugiyama

 圧巻という表現では足りないほどあまりに見事な3ラウンドKO勝利であった。

 WBC世界バンタム級王者・中谷潤人は2月24日、東京・有明アリーナで開催された「Prime Video Boxing11」のメーンに登場し、28戦全勝の有望株ダビド・クエジャルから3ラウンドに2度のダウンを奪って3度目の防衛を果たした。中谷はこれでプロデビューから無傷の30連勝、バンタム級の世界戦4連続KO勝ち。WOWOW「エキサイトマッチ」の解説を務めるなど海外のボクシングにも精通し、ボクシング塾「ボックスファイ」を経営する元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏に、試合のポイントと“とにかく強い中谷”のテクニックを解説してもらうことにした。<全2回の前編/後編へ>

「これは早い段階で決着する」という予感

 1ラウンド開始50秒あたりから中谷がノーモーションの左ストレートをヒットさせるようになると最初の3分間が終わらないうちに飯田は「中谷選手の不注意さえなければこれは早い段階で決着する」と読んでいる。その根拠はこうだ。

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「右構えのクエジャル選手は、サウスポー対策としてセオリーどおり相手の外を取ろうと左回りをしてきました。うるさいジャブで支配されない、左ストレートをもらわないため準備してきたのに、中谷選手はいとも簡単に無効化するわけです。自分も左に回って、左後ろに下がりながら相手が(正面に)移ってきたところを狙い撃ちする。これだとジャブの差し合いよりも(利き手の)ストレートのほうが打ちやすい。かつ、クエジャル選手は上半身が突っ立ったままで狙いやすかった部分もあります。元々の作戦だったかどうかは分かりませんが、簡単に実践できるわけではありません。駆け引きのうまさ、パンチを繰り出すタイミングの良さに加えて、ノーモーションの左にかなりスピードがありました。

 倒そうという打ち方ではありません。打ち抜かないスピード重視で、言わば強いジャブのようなもの。初動にモーションがないから、クエジャル選手も気づいたときにはもうパンチをもらってしまっているという感じだったのではないでしょうか。打ち抜かないとはいってもストレートだから、当然ジャブより威力がある。これをもらい続けたらヤバいと焦ったでしょうね。無敗の世界ランカー相手に、これを1ラウンドからバシバシ当てるというのは世界チャンピオンクラスでもなかなかできません」

挑戦者と王者の“決定的な差”

 今回の見どころは中谷が自分の身長(173cm)より高いクエジャル(174cm)をどう攻略するか。クエジャルは好戦的なスタイルで左フックを武器としており、中谷は距離を縮めて左を振りたい挑戦者の狙いを頭に入れたうえで左回りをベースに右ジャブと左ストレートで完璧に封じ込めている。2ラウンドはどうだったか――。

【次ページ】 挑戦者と王者の“決定的な差”

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