「何もかもが完璧」中谷潤人、衝撃のKO劇…元世界王者・飯田覚士が感服したパンチのチョイス「まるで決め打ちしたかのように」井上尚弥との対戦の行方は？ 

　再開してすぐに襲い掛かった王者はワンツーかと思いきや、ストレートではなく左フックで捉えてロープ際まで吹っ飛ばした。まさに新ニックネームどおりのビッグバン。最後は距離を詰めてからのワンツーで仕留め切った。パンチの選択も、威力も、まとめ方も何もかもが完璧だった。

　飯田は言う。

「最初のダウンを呼んだ左ボディーも、そのダウンさせたワンツーもストレートだったので、クエジャル選手の頭のなかはストレートが脳裏に焼き付いている。それだけじゃなくて中谷選手は真っ直ぐに向かうのではなく、微妙に右にスライドしながら打ってくるのでクエジャル選手からすれば視線が中に寄っていって、（意識を）外側に向けにくい。そこにあの左フックが飛んできたわけです。

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　駆け引きも凄いんですが、長身の選手があれだけのフルスイングでフックを打つと体がどうしてもぶれやすくなる。でも中谷選手にそれがないというのは下半身が安定しているからだと言えます。いずれにしても中谷選手がロープを背負ってから逆に一発ずつパンチを当てて倒し切るまでがあまりに早かった」

3ラウンドのKOシーンでは圧巻のコンビネーションを見せた中谷　©Hiroaki Yamaguchi

3ラウンド、クエジャルから2度目のダウンを奪いKO勝利　©︎Takuya Sugiyama

　終わってみれば、中谷の底知れぬ強さばかりが際立った3回KO勝ち。日本人世界王者が独占するバンタム級において飛び抜けた存在になっているのは誰もが認めるところであろう。

　次戦は中谷本人、試合後リングに上がったIBF王者・西田凌佑ともに対戦を熱望しており、王座統一戦の機運が高まっている。実現すれば6月が有力だ。

　アマチュア出身の西田はここまで10戦全勝2KOのサウスポー。この日WBA王者の堤聖也と激闘を繰り広げた比嘉大吾に過去、WBOアジアパシフィック戦で3―0大差判定勝ちするなど名を上げていき、難敵エマヌエル・ロドリゲスを下して世界タイトルを手に入れている。アウトスタイルを得意とする一方、ロドリゲス戦で見せたように打ち合いにも強い。昨年12月にはアヌチャイ・CPフレッシュマートに7回KO勝ちで初防衛を収めている。

「中谷vs.西田」面白い統一戦になる

　飯田はこの一戦をどのように見ているか。

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