- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「何もかもが完璧」中谷潤人、衝撃のKO劇…元世界王者・飯田覚士が感服したパンチのチョイス「まるで決め打ちしたかのように」井上尚弥との対戦の行方は?
posted2025/02/27 17:04

28戦全勝の挑戦者クエジャルを下し無傷の30連勝を飾った王者・中谷潤人。その強さの秘密を元世界王者の飯田覚士氏が徹底解説した
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
左フックを食らうも、ヒヤリともせず…
WBC世界バンタム級王者・中谷潤人が28戦全勝の挑戦者ダビド・クエジャルを迎えた3度目の防衛戦は一気にフィニッシュに近づいていく。
3ラウンド残り30秒、ボディー3連発から強烈な右フックを浴びせながらも、苦し紛れとはいえクエジャルの得意とする左フックを食らった。しかしヒヤリともしない。逆にこれが仕上げを呼び込む誘い水となる。
横っ面にもらいながらも中谷はまったくひるむことなく、すぐさま左、右とパンチを振って今度は己が得意とする左ボディーストレートをグサリと突き刺した。
ADVERTISEMENT
飯田覚士はこう強調する。
「クエジャル選手からすれば何とか左フックを当てたのに、逆にパンチを2つ返された挙句、もの凄いスピードでボディーストレートが飛んできた。結果的に心が折れるポイントになったと思います」
ロープ際に後退したクエジャルに対し、中谷は勢いをつけながらワンツーを打ち込んで最初のダウンを奪う。飯田が感服するのはパンチのチョイスだ。
「ボディーでロープに詰まると踏んだからワンツーにしたということですね。もし相手がぐっと耐えていたら違うコンビネーションに切り替えていたはずです。一発打って相手の反応を見ながら打つタイプのボクサーは(アルツール・)ベテルビエフ(前4団体統一ライトヘビー級王者)もそうですが、多少なりとも間ができるのは仕方がない。でも中谷選手の場合はメチャメチャ高速回転で、まるで決め打ちしたかのように映る。ボディーを打ち出したときに相手の状態を見て、下がったらワンツーだなと0コンマ何秒で判断しているんでしょうね。頭が凄く回っている証拠でもあります」
何もかもが完璧なKO劇
相手の心を折りつつ、相手の反応によってパンチを選びつつ、正確にかつ強く当て切ってのダウン。プロキャリアで初めてキャンバスに腰をついたクエジャルはダメージを回復させるべくゆっくりと立ち上がってきたが、もはや力は残っていなかった。