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核心にシュートを!BACK NUMBER
「堂安律で数字取れないでしょ!」なぜか日本で低評価だが…「ドウアンは24億円でもお買い得」“ドイツで宝石”の背景は8ゴール6アシストだけではない
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/02/22 17:01

日本代表、フライブルクで右サイドハーフとして新境地を見せる堂安律。新シーズンはドイツ国内でのステップアップとなるか
そもそもフライブルクにとって堂安とは、クラブ史上2位となる850万ユーロの移籍金を投じて、オランダの名門PSVから獲得した「宝石」である。
近年のフライブルクは新スタジアム効果もあいまって、ヨーロッパの大会にもコンスタントに出場できるようになった。それでも財政基盤とカルチャーを考えれば、大事にしてきた宝石に磨きをかけたうえで、次のクラブに高く買い取ってもらうことを念頭に置かないといけない。
なぜか日本では「堂安で数字は取れないでしょ」
堂安は昨シーズン後半戦から今シーズン前半戦、つまり2024年の1年間で、リーグ戦だけで11ゴールを記録した。6月と12月の2回、ブンデスリーガの各ポジションの通信簿を老舗キッカー誌が発表するのだが、その最新ランキングにおいて、全サイドアタッカーのランキングで、バイエルンのオリーセらについで堂々4位に名を連ねた。昨シーズン後半戦から堂安が見せ続けている成長を、彼の両親に次いで喜んでいるのがフライブルクのSDかもしれない。
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「今の働きをあと1シーズン続けてくれ。そうすれば、君は“あらゆること”への準備が整う」
そんなメッセージの通りになりつつあるのだから。
今回の堂安へのラブコールを理解するためにもう1つだけ書くとしたら、日本とドイツにおける評価の違いだ。
「いや、堂安で数字は取れないでしょ!」
昨年11月、メディア関係者と筆者との会食の席でのこと。海外で活躍する日本人アスリートのなかで積極的に報道すべき選手として、筆者が堂安の名前を挙げた時、同席した人たちはそんな返答だった。しかしドイツにおける堂安への評価は、日本における彼への評価をはるかに上回っている。
その要因はいくつもある。彼がブンデスリーガで見せているプレーの質、決定力。何より、そして今季リーグ戦23試合すべてに出場して、すでに昨シーズンをいずれも上回る8ゴール6アシストという結果を残している。2月21日のブレーメン戦では自身初となる「ドッペルバック(1試合2ゴール)」も記録した。
堂安が有している「ケーパーシュプラッヘ」とは
そのかたわらで、見落としてはいけないものがある。ドイツサッカーを語る上で不可欠かつ重視される姿勢、「Kopersprache(ケーパーシュプラッヘ)」を堂安が持っているという事実だ。
「Kopersprache」とは、英語でいう「ボディランゲージ」となる。ただこの言葉は、日本人がイメージするよりも、はるかに重い意味を持っている。