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女子プロレス大賞受賞後に“まさかの3連敗”も「やる気しかない」Sareeeが里村明衣子戦後に語った責任感「それが使命なんじゃないかと」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/02/17 17:00

1月23日、里村明衣子と対戦したSareee
里村戦に続き、チケットはあっという間に完売。昨年はマリーゴールドのチャンピオンのままスターダムのワンダー王者(当時)なつぽいとのタッグを実現させてもいる。強気な言動と激しい試合で評価されてきたSareeeだが、そのプロデュース力も見逃せない。
そう考えると2月の仕切り直しも絶妙だ。2023年、アメリカ・WWEから日本マット復帰を決めた際にも、ファイトスタイルの違いにアジャストする時間が必要だと冷静に考えていたそうだ。そして「勝負の年」と定めた2024年、2本のベルトとともに女子プロレス大賞を獲得している。またアメリカのメディアでは「ベストブッカー」部門で2位に選出された。
「私としては、自分が見たいカード、やりたいカードを組んできただけなんですけどね」
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そう言うSareeeだが、団体の壁に忖度しない姿勢はファンにも伝わっているはず。だからチケットが売れるのだ。
「女子プロレスラーたちが報われるプロレス界にしたい」
日本マットに復帰したばかりの頃には“闘い”を見せたいという思いから、たとえば他団体の華やかさを否定する言葉が目立ったこともある。一種のアンチテーゼで、それを利用するようなメディアもあった。
だが今のSareeeは、何かのアンチである必要がなくなっている。否定の言葉など不要で、魅力的なマッチメイクと妥協のない激しい試合ぶりがあれば充分だった。言葉の中で目立つのは、むしろ業界全体を見渡す視野の広さ。それにトップ選手としての責任感だ。
自主興行では、必ず若手選手たちの試合を組んでいる。ここ数年の女子プロレス界はデビューする選手が多く、彼女たちの頑張りがSareeeの刺激になっている面もあるようだ。その思いは、里村戦後のコメントにも表れている。
「もっとSareeeという名前、知名度を上げていきたい。そして女子プロレスラーたちが報われるプロレス界にしたい。それが使命なんじゃないかと考え始めてます。今日、参戦してくれた選手たちはみんな本当に素晴らしかったです」
自主興行、あるいは若手選手との練習の中で、Sareeeは“今の女子プロレス”の豊穣さを知ったのだろう。1月の自主興行では、キャリア2年ほどのChi Chiと業界トップの一角である彩羽匠の一騎討ちを組んだ。試合前、彩羽はSareeeから「(Chi Chiを)よろしくね」と言われたそうだ。
3月大会では叶ミクがなつぽいとシングルで当たる。
「ミクにとってチャンスですよね。練習でも頑張ってるのを見ているので(チャンスをあげたかった)。見ている人はいるんだよ、と」