「全く真逆…今回はこう来たか」元世界王者・飯田覚士が注目した“絶対王者”井上尚弥の戦い方「キム・イェジュンにとって相当な衝撃だったはず」 

　終盤にはキムの左ストレートを顔面にもらうシーンもあった。しかし飯田の目には、まったく問題なく映っていた。

2ラウンド終了し、KO劇のカウントダウンへ

「不用意にもらったという見え方ではないですね。この位置で打ち込まれても、このくらいの威力なら大丈夫というインプットされたなかで（パンチを）もらっている感じ。リスクのあることは一切やっていません。キム選手との対戦が決まって、おそらく相手を分析し尽くしてきたわけではないと思うんです。こういうタイプかとざっと確認したうえで、1ラウンドの戦いのなかで自分があらかじめ持っていた印象との違いを確認し、2ラウンド途中には左の軌道も確認して、相手の出方に応じて強いパンチを打ち込むことができた。ここからはもう尚弥選手がペースを上げてくるだろうな、と。逆にキム選手はこれまでの選手のように大体の情報を渡してしまった以上はジリ貧になっていくに違いないと思いました。

　僕も日本ランカー時代に相手は右構えだと思っていたら、蓋を開けてみたら左だったという試合がありました。情報も映像も少ない時代でしたから驚くことでもないのですが、相手の情報が大体分かるまで最低でも2ラウンドいっぱいは掛かったものです。何が言いたいかって、普通こんなに早くインプットして、かつ即座に対応するのって難しいんですよ。尚弥選手がずっとやってきたことではあるのですが、嫌なプレッシャーのかかる試合でいつもどおり自然にそれをやり切ってしまうのはさすがです」

攻勢を強める井上。2ラウンド終了後、キムの左目は腫れていた　©︎Naoki Kitagawa

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　2ラウンドが終わってコーナーの椅子に座ったキムの左目は腫れていた。KO劇のカウントダウンに入った。

＜後編に続く＞