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「中吊りに自分の顔があって…」メグカナに憧れた少女が“春高ヒロイン”になれた理由…二見梓が振り返る「悔しい思い出しかない」高校時代 

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吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

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photograph byL)Takuya Sugiyama、R)AFLO

posted2025/02/05 11:00

「中吊りに自分の顔があって…」メグカナに憧れた少女が“春高ヒロイン”になれた理由…二見梓が振り返る「悔しい思い出しかない」高校時代<Number Web> photograph by L)Takuya Sugiyama、R)AFLO

大和南高校で春高バレーの舞台でも躍動した二見梓さん

 大和南高では、身長180cmのミドルブロッカー、1年生から主力として春高のコートに立った。将来を約束されたとっておきの逸材を、テレビ局は見逃さないわけがなかった。

「電車に乗ったら、中吊りや新聞に自分の顔があったりして。日本代表になりたいという気持ちと矛盾しているんですけど、人前に立つのは苦手だし、そのときは恥ずかしい気持ちのほうが強かった。自分が出ていたテレビも見なかったです、プレーにも集中したかったし。インタビューもちゃんと答えようと思ってもなかなか話せなくて……。校長先生からも『ちゃんと喋りなさい』と呼び出されたこともありましたね」

「高校時代は悔しい思い出しかないかもしれない」

 注目の的になっている自分といまの実力を照らし合わせ、そんな現実に悩む日々だった。

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「練習試合を一緒にやっている強豪校が優勝、準優勝しているのに、私たちはベスト8止まり。全然、嬉しくなかったです。国体でもベスト4でしたし、高校時代は悔しい思い出しかないかもしれない。上級生になってからキャプテンに任命されたんですけど、自分はそういうレベルの選手じゃないとも思っていて発言することも少なくて。プレーでどうにかすればいいでしょう、と考えてしまう幼さもありました」

 それでも日本代表を目指すのであれば、「通らなければいけない道」として理解もしていた。そのギャップと葛藤しながら高校時代を過ごした二見は、東レに入社し、当時のVリーグチーム・東レアローズ女子バレーボール部(現東レアローズ滋賀)に入団。階段のトップへとのぼり詰めていく。

「当時3連覇していたチームですし、東レに入れたのは本当に嬉しかった。荒木絵里香さん、木村沙織さん、迫田さおりさん、中道瞳さんらテレビで見てきた選手たちが勢揃いで。『本物だ!』みたいな(笑)。最初はまともに顔を見てお話できていなかったかもしれないです」

【次ページ】 二見が“Vリーグのヒロイン”になった日

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