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「1656安打349HRの掛布雅之が選出だが」“イチローの師匠”に谷沢健一、三冠王ブーマーは…野球殿堂「記者が投票数使い切っていない」問題

posted2025/01/21 06:01

 
「1656安打349HRの掛布雅之が選出だが」“イチローの師匠”に谷沢健一、三冠王ブーマーは…野球殿堂「記者が投票数使い切っていない」問題<Number Web> photograph by JIJI PRESS

エキスパート表彰で王貞治、原辰徳とともに写真に納まる掛布雅之(代表撮影)

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 2025年の野球殿堂入りについて発表で話題になったのは「イチローの殿堂入り」とその得票率だった。しかしそれ以外に……記録面から見ると大きな問題があると識者が指摘する。〈全2回の2回目〉

実質テスト生→ドラ6から這い上がった掛布

 日本野球殿堂の「エキスパート表彰」は、プロ野球選手の場合、引退して21年目以降に候補となる資格ができる。実質的に「プレイヤー表彰」で殿堂入りできなかった野球人のセカンドチャンスになっている。

 またエキスパート表彰の場合、現時点でプロ野球の監督、コーチを務めている野球人は候補になれない。

 今年は、元阪神の掛布雅之が選出された。掛布がエキスパート表彰の候補になったのは2019年、1年目は41票(得票率30.8%)だったが、じりじり得票数が増えて7年目の今年111票(76.6%)まで票を伸ばした。

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 掛布は市立習志野高から1973年ドラフト6位で阪神へ。高校時代は全く無名で、入団テストを受けて入団。実質的には「テスト生」だったのだ。同学年には、作新学院高の江川卓がいた。江川は阪急から1位指名されたが入団を拒否している。また南海のエースになった南宇和高の藤田学も同世代だ。結局、この年のドラフトで殿堂入りしたのは掛布だけだった。

 入団当初は全く注目されていなかったが、オープン戦で好成績を挙げ、開幕一軍を勝ち取ると次第に出場試合数を増やした。当時の阪神のスターは田淵幸一。いしいひさいちの漫画『がんばれ!タブチくん』では、ぶくぶく太ってちんたら野球をするタブチくんと、丸刈りで一生懸命練習をするカケフが、漫才コンビのように描かれていた。

 1979年に48本塁打で本塁打王に輝く。巨人の王貞治、広島の山本浩二など強打者が居並ぶセ・リーグで、24歳の小さな若武者の活躍に大阪のファンは沸いた。「か・け・ふ!」「か・け・ふ!」の「掛布コール」は、今に続く阪神の熱烈応援の原型ではなかったか。筆者は大阪の男子高に通っていたが「掛布のよめはんの写真」が出回って、その器量の良さにクラス中が異様に盛り上がったのを覚えている。

掛布以外にも殿堂入りにふさわしい選手が多数

「一世を風靡した」とは、掛布雅之のためにある言葉のように思う。そういう意味では今年5月9日に70歳になる掛布の「エキスパート表彰」での殿堂入りは誠に喜ばしい。

 しかしながら「エキスパート表彰」部門でも、本来、殿堂入りしてもおかしくない「候補者」がたくさん控えている。

【次ページ】 掛布以外にも殿堂入りにふさわしい選手が多数

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