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「なんで誰も気づいてくれないのかな、って」殿堂入りの元中日・岩瀬仁紀「愛知県出身」だけじゃないイチローとの“ある共通点”と色褪せぬ偉業
posted2025/01/18 17:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
野球殿堂博物館は1月16日、元シアトル・マリナーズのイチロー氏と、元中日ドラゴンズの岩瀬仁紀氏の選出を発表し、通知式を行った。
ヒットを打つこと、そして9回を締めくくること。2人の突出した成績は、改めて書く必要はないだろう。1学年違いで、ともに愛知県出身。そして遠く離れた鳥取市に縁がある。
イチローと岩瀬の共通点
それは小山裕史(やすし)氏が主宰するトレーニング研究施設「ワールドウィング」のトレーニングを実践していたからだ。同施設が提唱する「初動負荷理論」によるトレーニングは、重いものを持ち上げ、筋力をアップすることだけが目的ではない。読んで字のごとく、初動に軽めの負荷をかけ、関節の可動域を広げたり、柔軟性を高めたりする。
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したがってトップアスリートにとってはパフォーマンスの向上だけでなく故障予防が期待できる。使用する器具も特殊なものが多いが、イチロー氏は自宅や練習拠点にマシン一式をそろえ、中日もバンテリンドーム(一軍)、ナゴヤ球場(二軍)の両本拠地に完備している。45歳まで大きな故障もなく日米で活躍を続けたイチロー氏、史上最多の1002試合登板を達成した岩瀬氏にくわえ、史上最年長登板記録をもつ山本昌氏も同施設の門下生。アスリートとしての寿命に関する、最も説得力のある実例がそろっている。
「自分にないものが得られる」
「関係あると僕は思っています。いや、なんでそのことに誰も気づいてくれないのかなって」
過去の取材でこう答えた岩瀬氏は、さらに続けている。
「他のところとは違う。何かがある。自分にないものが得られるんです。発見。新たな引き出し。僕は学ばせてもらった。それを他の人が気づくかどうか。そこだと思っています」