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「このままだとお前、邪魔だ」で選手が奮起…青学大「狭間の世代」が成した“駅伝三冠&箱根駅伝3連覇”ウラ話 原晋監督は「やっぱり4年生ですよ」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/16 11:03
2017年の箱根を制し、学生駅伝三冠&箱根駅伝3連覇を達成した青学大。アンカーを務めた主将・安藤悠哉ら4年生が奮起したワケは…?
1年の時から孤高の存在だった一色。五輪など個人での活躍にフォーカスしているようにも見えたエースの涙には、4年生たちを含めてチームの誰もが驚いた。
「出雲では同じ4年の茂木(亮太)も4区でしっかり走りました。一色は同学年で頑張るやつが出てきたのがうれしかったんでしょうね。下級生たちも、近寄り難い大エースが駅伝にこれほど思い入れがあることを知った。あれでギュッとまとまりました」
池田や秋山も「チームが一枚岩になった大きなターニングポイント」と感じていた。続く全日本大学駅伝では、その一色がアンカーとして6km付近で早大を逆転して二冠目を獲得した。
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12月、箱根のメンバー発表を前に、秋山は「自分みたいに波の大きな選手、自分が監督でも怖くて使えない」と考えていた。だが、メンバー表の3区にはその名前が入っていた。監督の英断の理由はわからなかったが、奮起する以外に道はなかった。
「みんなが出雲、全日本とつないでくれた。どれだけ調子が悪くても全力振り絞って三冠に貢献したい。そう思って走りました」
青学大初の三冠…原監督は「やっぱり4年生ですよ」
年が明けての本番、秋山は2区の一色から襷を受けた。4年間、同期の柱であり続けてくれたエースに対して「お疲れさま。ありがとう」という思いが込み上げてきた。自然と足が動いた。原監督からは「湘南の神」と励まされながら、またもや区間賞の走りでチームを首位に押し上げた。
一色はエースらしい走りを見せて2区3位、池田は9区2位で優勝を盤石なものにし、安藤は10区を4位で締め、こん身のガッツポーズで大手町のゴールに駆け込んだ。
青学大初の三冠達成。
「やっぱり4年生ですよ」
原監督は満面の笑みを浮かべて、彼らのがんばりを讃えた。