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「あれはガッツポーズじゃないです」フィギュア全日本4連覇、坂本花織が明かす“悔しさ”の意味…中野コーチから「もう少しできるでしょう」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2024/12/30 17:03
フィギュアスケート全日本選手権で4連覇を果たした坂本花織。フリーの演技後には苦笑いも…その真意とは
「3回転フリップが『こうやったら跳べる』というのを確実に掴めたので、それは自分にとってすごく成長だなと感じました」
全日本選手権の会場に来てからも、フリップは絶好調。そのままの強気でショート本番を迎えると、「3回転フリップ+3回転トウループ」を降り、パーフェクトの演技で締めた。
「1週間前まで“イヤイヤ期”だったとは思えないぐらい、気持ちがすっきりしています。GPファイナルのときよりも自信を持ってできました。練習の成果が出てすごく嬉しい。なんとか間に合わせたなと思います」
「しっかり強気で行かないと」
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そして、ショートに臨んだ自分の精神状態を振り返る。
「やっぱり『勝ちに行こう』と思ったときほど成績が良いなと、色々な大会を通して気づきました。GPファイナルから全日本選手権までの期間で『しっかり強気で行かないと』と思えていたことが良かったと思います」
わずか1週間での技術と精神面のブラッシュアップ。そのスピード感が、坂本を世界選手権3連覇へと押し上げた強さだろう。自信を持ってフリーに進んだように見えた。
2日後のフリー。6分間練習では、スピード感あるジャンプを次々と決めた。直前の滑走は、世界ジュニア女王の島田麻央。トリプルアクセルと4回転トウループに挑む高難度の演技を見せ、総合219.00点の高得点で首位につけた。
「麻央ちゃんや他の選手の点数はまったく聞かないでいました。麻央ちゃんの点数が出るまでの時間は、鼻息が荒くなるくらい緊張していました」
中野園子コーチが「4連覇できるのは、あなただけだから」と声を掛けると、「たしかに」と心のなかで返す。「余裕があったわけではなく、それくらい(単純なこと)しか思い浮かばなかったです」
中野コーチの言葉が耳に入ってこない。送り出される姿に、笑顔はなかった。
ミュージカル『シカゴ』の音楽に乗って、身体は自然に動き出す。冒頭で得意技のダブルアクセルを跳んだが、いつものように右足を大きく振り出すことができなかった。見た目はきれいなジャンプ。ただ、坂本の体感としては攻めるジャンプではない。
「最初のアクセルから危なかったです。ちょっと守りに入っていました」
中野コーチから「もう少しできるでしょう」
守りに入ったといいながらも、体力がある演技前半の4本は成功。しかし演技後半の1本目、新たな跳び方を習得したばかりの「3回転フリップ+3回転トウループ」は、3回転フリップの着氷がオーバーターンになってしまった。