- #1
- #2
濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「誰よりも輝いてるスターが巻くもの」スターダムの妖精・なつぽいが明かす“白いベルトの価値”「隣にたむちゃんがいてサオリがいて…」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/12/29 11:02
現ワンダー・オブ・スターダム王者のなつぽい
「隣にたむちゃんがいて、サオリがいて…」
白いベルトを巻いたら引退してもいいと思っていたのに、むしろ「ここでは終われない、もっと上を目指せる」と感じた。12月29日のビッグマッチ、両国国技館大会での3度目の防衛戦はスターライト・キッドが挑戦者。キッドもまた、なつぽいのキャリアに大きく関わってきたライバルだ。
「最初に会った時は練習生だったと思います、キッちゃん。デビューした年も同じで、STARS(正規軍)時代、ヒールになった大江戸隊時代両方でタイトルマッチをやってるんですよ」
2021年、大江戸隊強制加入で“闇堕ち”したキッドは8度目の挑戦で念願のハイスピード王座奪取。勝った相手がなつぽいだった。今回は場所を変え、ベルトを変え、すべてのグレードを上げて勝負に臨む。
ADVERTISEMENT
「“闇堕ち”した時のキッちゃんはギラギラと欲深くて、この勢いに対抗するのは無理だなって感じるくらいでした。ただ意識してるのは自分だけで、周りに目が行ってなかったですよね」
今年、大江戸隊を追放されたキッドは新ユニットNEO GENESISを結成する。なつぽいの誘いでタッグを組んだ時期もあったが、最後に選んだのは自身のユニットを作ること。自らスカウトしたメンバーは、全員歳下だった。
「今のキッちゃんは周りのメンバーのことも考えながら試合してますよね。“強欲”に“愛”も入った感じがします。結果、選手としては余裕が出てきたんじゃないかなって。
私もそうだったんです。隣にたむちゃんがいてサオリがいて、余裕ができたことで成長したんだと思ってます」
来年はデビュー10周年
前哨戦ではなつぽいの腕攻め、キッドの脚攻めが注目されたが、基本的に選手としてのスタイルはよく似ているという。
「身長が同じだし使う技も共通の部分があるし、試合のリズムも近いです。だから相手がキツいタイミングも分かる。“いま攻めたら相手は辛いぞ”と思って動くと、向こうもきたりするんですよね(笑)。
私、占いが大好きなんですけどゲッターズ飯田さんの占いではどっちも『銀のカメレオン座』。いろいろ似てると思って、キッちゃんの生年月日を勝手に入れて調べました(笑)」
占い以上に大事なのは、新ユニットを率いるようになったキッドとの初タイトルマッチだということだ。
「このタイミングで対戦するのは面白いですよね。いろいろ変わって、積み上げて、立場が変わって、お互いにこだわりがある白いベルトをかけて両国国技館で対戦する。今までの経験すべてがここにつながってたのかなとさえ思います。
でも、ここからつなげなきゃいけないこともあるんですよ。私とサオリは来年でデビュー10周年。その時にはやっぱり白いベルトがなきゃいけない。もっと上があるはずなので」
そう言いながらふと気づく。10周年をチャンピオンとして迎えた時も、また「もっと上がある」と思うのかもしれないと。
「やめられなくなっちゃいますね。来年30歳なのにどうしよう(笑)」
こちらとしては、10周年も20周年も現役で迎えてほしいと願うだけだ。《後編に続く》
(撮影=杉山拓也)