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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「誰よりも輝いてるスターが巻くもの」スターダムの妖精・なつぽいが明かす“白いベルトの価値”「隣にたむちゃんがいてサオリがいて…」《特別グラビア》
posted2024/12/29 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
スターダムの“妖精”なつぽいは、2024年を「再会の年でした」と振り返る。
「それ以前に、リングに復帰したのが今年だっていうのが信じられないです。濃すぎる1年でしたね」
首を痛め前年10月から欠場していたなつぽいは、3月9日の横浜武道館大会で復帰。その対戦カードも自身で考え、団体に交渉した。
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同じ日に同じ団体でデビューした盟友・安納サオリがタッグパートナー。相手チームはセンダイガールズの橋本千紘とSareeeである。全員が現代の女子プロレス界を代表する選手たちだ。特にSareeeは前年、米WWEとの契約を終えて帰国し、話題になっていた。帰国第1戦の相手が橋本でもあった。
Sareeeにとってはスターダム初参戦にもなる。今まで上がっていない団体に登場し、なおかつライバルとタッグを組む形だ。
「最初は“厳しいかもしれません”と岡田さんに言われて。ダメだった場合のカード案も考えてたんですよ。でも最後は岡田さんが頑張って話をまとめてくれました」
なつぽいの言う「岡田さん」とは、現スターダム社長の岡田太郎。昨年12月に就任すると、女子プロレス最大手にさまざまな変化をもたらしてきた。これまでのスターダムは他団体との交わりが限定されていたが、岡田体制では積極的に他団体のトップ選手を招聘。またスターダムの選手も他団体に打って出ている。6月には岩谷麻優がIWGP女子王座の防衛戦をアイスリボンのリングで行った。
「選手1人ひとりが明るくなった」
岡田の念頭にあるのは、1970年代の北米マットだという。WWF(WWE)による“全米統一”以前、アメリカではテリトリーごとに興行が開催されていた。各テリトリーが認める統一機構がNWAだ。
狭い日本ではテリトリー制というわけにはいかないが、団体の数は多い。他団体を遠ざけてスターダムの独自性を誇示するよりも、魅力的なマッチメイクで女子プロレス全体の魅力をアピールしたほうがいい。
それが岡田の考えであり、なつぽいの復帰戦は“新生スターダム”の路線にも合致していた。あるいはなつぽいのカード案自体が、スターダムの新たな流れを加速させたのかもしれない。
会社の変化は「凄く感じます」となつぽい。
「私はもともと、会社に大きな不満はなかったんです。試合数が多いなぁというくらい。その私から見ても、今は選手1人ひとりが明るくなりましたね。
選手にとっての大きな変化は、不満でもなんでも会社が耳を貸してくれるようになったこと。前は、たとえばキャリアの浅い選手たちが会社の人たちとどれだけコミュニケーションできていたか分からないです。不満ばっか言っててもダメですけど、少なくとも溜め込まなくなったと思います」