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「こんなに飛ぶのか…正直ビックリ」大谷翔平“二刀流”を現実にした究極のゲーム「世界初1番投手初球弾」の衝撃「人生でいちばん遠くに運ばれた」
posted2025/01/14 17:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
NIKKAN SPORTS
発売中のNumber1111号に掲載の[ソフトバンクvs.日本ハム]2016.7.3「1番・投手の衝撃」。
これぞ大谷という究極のゲーム
野球の常識を変えてしまった大谷翔平の軌跡を振り返ると、マンガを現実化したような嘘みたいなゲームがいくつかある。
中でも本格的に「リアル二刀流」に乗り出し、投手とDHの2部門でベストナインを受賞した2016年シーズンには、これぞ大谷という究極のゲームがある。7月3日の福岡ソフトバンクホークス戦だ。
リーグ3連覇を狙うホークスは早くも独走態勢に入り、後続に大差をつけていた。だが、7連勝で福岡に乗り込んできた3位北海道日本ハムファイターズに2連敗。3タテ阻止がかかるこの日、ヤフオクドームはいつになくざわめいていた。場内アナウンスが、予告先発する大谷の名を1番に告げたからだ。
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そしてプレイボール直後、ざわめきはどよめきに変わる。大谷が初球を強振すると、ボールは右中間スタンドに飛び込んだ。先発投手による先頭打者、初球ホームランはプロ野球史上初の出来事である。
打者・大谷が先制アーチを放てば、22回無失点を継続する投手・大谷は8回を被安打5の無失点に抑える。試合は2-0でファイターズの勝利に終わり、翌日のスポーツ紙は大谷の話題で埋め尽くされた。
《まるでマンガの世界》
《世界初1番投手初球弾》
《30イニング0封!! 10K8勝》
二刀流がこれ以上ない形で結実した一戦、初球ホームランを打たれたのは中田賢一だった。現在、古巣ホークスで一軍投手コーチを務める彼は、試合前にブルペンに入っていきなり驚いたという。
「壁に貼られたオーダーに、1番大谷と書かれていたのでびっくりしました。いつもは3、5、6番あたりが多かったですから」
キャッチャーと事前に決めていた初球が…
中田は捕手の細川亨と話し合い、先頭打者への攻め方を確認する。結論はすぐに出た。初球はインコースへのスライダー。