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「あれっ? びっくりしました」中村憲剛が驚いた長谷部誠のキャラクター変化「最初に会った時は“自分がやりたいことを主張する”印象でしたが…」
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中村憲剛Kengo Nakamura
photograph byGetty Images
posted2024/12/10 17:09
日本代表での中村憲剛(左)と長谷部誠。憲剛は代表活動の中で長谷部の変化に驚いたという
緊急事態での就任ですから、大変だったことでしょう。けれど、その状況で任せても大丈夫だと、岡田武史監督に決断させるパーソナリティを持っていた、ということなのです。
生まれながらのキャプテンタイプでは、なかったかもしれません。それでも、チーム内での自分の立ち位置を理解して、周囲に好影響を与えることのできる存在となっていった。誰もがその存在価値を認める、素晴らしいキャプテンでした。
玉田圭司の柔軟性
日本代表のチームメイトでは、玉田圭司もプレースタイルを変えていきました。
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プロキャリアをスタートさせた柏レイソルではドリブラーで、日本代表でも2トップの一角としてプレーすることが多かった。そのドリブルはキュキュッという音がするような鋭さがあり、ディフェンダーを翻弄する彼の姿をチームメイトとして頼もしく思い、対戦相手としては油断のならない存在だと感じていました。
30歳を過ぎたあたりからでしょうか。ポジションを少し下げるようになりました。 2シャドーやトップ下で起用されることが増えていきます。そもそも彼は最前線で 張るというよりも、中盤へ降りてボールに触ることで自分のリズムを作り出すタイプ でした。玉田自身、「ストライカーというよりもチャンスメーカー」と話していたようですから、フォワードからトップ下へポジションを下げることに無理がなかったのでしょう。
彼は41歳まで現役を続けました。ストライカーとしての得点を取るスキルに加えて、スルーパスも巧みで周りと連携しながらプレーすることができた。そして、ポジションを変えられる柔軟性があったことで、その才能は持続力を持つこととなったのでしょう。
<続く>
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