侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
プレミア12・侍ジャパン完封負けの理由は「打てなかった」だけでなく…牧秀悟や桑原将志たちが感じた台湾代表の「本当の強み」とは?
posted2024/11/26 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
野球日本代表・侍ジャパンは「プレミア12」決勝で台湾代表に0-4で敗れ、準優勝に終わった。開幕から8戦無敗のまま突き進んできたが、優勝をかけた大一番は打線が抑え込まれて完封負け。一方で、台湾は五輪やWBCなど主要国際大会では1992年バルセロナ五輪以来となる日本戦勝利で大会初優勝を果たした。
日本にとって“まさか”と言うべき光景が広がっていた。ファーストライナーの併殺打で試合が終わるとマウンドにできた台湾代表の歓喜の輪を、選手たちはベンチで呆然と見つめた。
銀メダルを「かけていられなかった」大勢
「WBCで世界一経験して、国際試合で負けて、どこかの国が優勝をするのを見る側は初めてだったんですが、当事者として本当に悔しかったので……」
そう振り返ったのはクローザーの大勢(巨人)だ。2023年のWBCでは敵地・マイアミでの決勝戦でアメリカ代表を破ったV戦士。代表での初の主要大会はそのWBCだったこともあり、国際大会で初めて味わう屈辱に、表彰式では首にかけた銀メダルをすぐに外した。
「自分が欲しかったメダルの色ではなかったので、かけていることに悔しさがこみ上げてきて。取ったというより、かけていられなかった」
台湾代表にあって、侍ジャパンに欠けていたものは何か? そう問われると「うーん……」とうなり、言葉を失った。「難しいですね。難しい……」。そう口にするのが精一杯だった。
牧が感じていたこと
台湾とは今大会、3度目の対戦だった。敵地の台北ドームで戦ったオープニングラウンドでは、日本先発の才木浩人(阪神)の好投に加えて打線もつながり3−1と競り勝った。決勝前日のスーパーラウンド第3戦は両国がすでに決勝進出を決めていたことで、お互いに手の内を隠しながらの戦いの中、9−6と勝利。それでも、日本が得点した直後に打線をつながれたり、簡単に長打を許すなど、台湾代表の不気味な底力を感じる場面があった。
同じく23年WBCのV戦士の1人である牧秀悟(DeNA)が振り返る。