NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「たまには散歩することも大事なのかな」石川祐希がいま明かす“パリ五輪のこと”「あと1点が取れていたら…」一番記憶に残っている場面とは?
posted2024/10/31 11:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Asami Enomoto
発売中のNumber1106号に掲載の[独占インタビュー]石川祐希「もう一度、五輪メダルを獲りにいく」より、内容を一部抜粋してお届けします。<全2回の前編/後編へ>
石川祐希がいま振り返る「パリ五輪」
中世の街並みに現代的な施設が溶け込むイタリア中部の穏やかな街、ペルージャ。丘の上にたたずむ街の澄んだ空気は、9月に入っても猛暑日が続いていた日本から訪れた身には冷たく感じられたが、石川祐希は半袖姿の爽やかな出で立ちで現れた。
イタリア・セリエAでの10シーズン目を迎えた石川は、念願だったトップクラブへの移籍を実現した。ペルージャは昨季セリエA、世界クラブ選手権、イタリアスーパー杯、イタリア杯の4冠を制覇した世界屈指の強豪。9月29日のセリエA開幕に向け、石川はポジション争いの真っ只中にいた。日本の絶対的エースで、世界を代表するアウトサイドヒッターの1人となった石川も、ここではまだ何も約束されていない。
パリ五輪準々決勝でイタリアからマッチポイントを握りながら、激戦の末に敗れたのは8月5日。一旦帰国したが、石川はわずか10日後にイタリアへ発った。新チームですでに2度のカップ戦に出場しており、完全にクラブモードに突入していた。
パリ五輪のことなどもう振り返りたくないのでは――。そんな心配もしたが、「振り返りたくないとかは全然ないです」と柔らかい表情でインタビューに答えてくれた。
――パリ五輪から1カ月と少し経ちました。今振り返ってどんな思いが強いですか?
「まあ終わった時とあまり変わらないというか。もちろん悔しい。あと1点だったので……。そのあと1点が、取れていたら、というのはずっと残っています。しかも対戦相手がいるし、チームメイトに(笑)」
――シモーネ・ジャンネッリ選手とロベルト・ルッソ選手がペルージャに。
「はい(苦笑)。それにメダルを獲った選手が1人いるので。ポーランドの(カミル・)セメニウク選手が。あとSNSを見れば、メダルを獲った人が日本でテレビに出たりしている。テレビに出ることが羨ましいとはまったく思わないんですけど、要はメダルを獲って、友達や家族、コーチ、スタッフとかと喜んでいる姿を見ると、悔しいとはまた別の、なんていうか……」
一番記憶に残っている場面とは…
――みんなを喜ばせてあげられなかった、みたいな?