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「目標は4部昇格」「スポンサー契約も自分で」ドイツ6部クラブ監督になった岡崎慎司の今…「経営して指導して組織作り、大変だけど楽しいです」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byKichinosuke Nakano
posted2024/10/29 17:22
今年8月からドイツ6部・バサラマインツ監督に就任した岡崎
バサラマインツは設立後、11部からドイツ1位タイの記録となる5年連続昇格もあり、6部までジャンプアップ。だがそこから5部昇格への厚い壁に何度もはね返されている。果たしてさらに上を目指せるクラブになれるのか。今年クラブ創立10周年を迎えたタイミングで、そこに岡崎慎司という存在が加わるメリットの大きさを関係者のだれもが感じている。
ドイツ統一の日である10月3日は国民の祝日。取材に足を運んだこの日、バサラマインツではホームにFSVオッフェンバッハを迎えたリーグ戦が行われていた。mizunoが手掛ける新ユニフォームと《EAT HAPPY》という新スポンサーのお披露目イベントもあって会場には500人以上の人が集まり、温かいお祭りムードに包まれていた。
スポンサー契約も自分で
2013年に創立されたEAT HAPPYは、様々なアジアのお惣菜とお寿司を毎日手作りで提供することで人気を集めている。すでにドイツを中心にヨーロッパ全土で1000以上の拠点を持つ。イベントでは焼きそばや焼き鳥、お寿司など自社の商品を無料提供の大盤振る舞い。このスポンサー契約をとってきたのも岡崎本人だ。
EAT HAPPY社長のナターシャ・テスマンは知人から岡崎と山下を紹介され、二人から受けたプロジェクトのプレゼンに計り知れないほど大きな《情熱》を感じたのだという。
「クラブとしての歩みがまず素晴らしいですよね。11部からスタートしたクラブがいま6部リーグまで到達している。最初は本当に大変だったと思うんです。何もかも自分達でやらなければならない。勇気がないとできないことです。
素晴らしいなと思うのは、シンジがとても自然体で接してくれることです。プロ選手だったというのを感じさせない柔らかさがあるというか、人間としてとても近く感じますし、冗談を言い合うことができます。とても丁寧で、リスペクトをもって接してくれているのを感じます。一緒に取り組むうえでとても素敵なことだと思います。
私は13年間、FCケルンとも仕事をしてきているので、多くのプロ選手や元プロ選手との経験がありますが、シンジのような人はそうはいない。
あととても印象に残っているのが、選手として引退するけどドイツに残るという彼の決心ですね。殆どの選手は母国へ戻るでしょう。シンジはここで学んだことをさらに伸ばして、さらに成長しようとしている。とても魅かれるところです」