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「目標は4部昇格」「スポンサー契約も自分で」ドイツ6部クラブ監督になった岡崎慎司の今…「経営して指導して組織作り、大変だけど楽しいです」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byKichinosuke Nakano
posted2024/10/29 17:22
今年8月からドイツ6部・バサラマインツ監督に就任した岡崎
「監督として『チームを勝たせたい』っていう思いがメインにあるんですよね。本当に監督として全部行動してる。クラブとしていいシステムができたらいい選手がくるし、スポンサーが増えたらクラブとしての補強もしやすくなる。監督として現場でやる前にやらなきゃいけないこともいっぱいあるなと感じながら、じゃあそれが監督として必要じゃないかと言ったら絶対にそうではない。
クラブ経営をして、指導者をして、組織を作って、それをドイツでやって。こんなことなかなか体験できることじゃないじゃないですか。今ちょうど一番楽しい時なのかもしれないですよね。大変だけど楽しい時だと思う」
新米監督としての課題
もちろん、指導者としての経験も少しずつ着実に積み重ねている。選手時代の岡崎は「言葉で何か伝えるよりかは、みんな自分で経験するだろうなと思っていた。だからプレーで見せることしかできないって。プロって厳しい世界。感じるか、感じないか」と思っていた。
でも指導者となった今、選手が《感じられる》ようになるためにどんなアプローチをすべきかに頭を悩ましていると明かしてくれた。
「監督になってからずっといろいろと試してますね。こういう課題があるから今週はこの練習にしようとか。その中で学ぶことが本当にたくさんあります。試合中の采配とかでも、『ああ、もっと早く動かしておけばよかったな』とか。
練習でのアプローチも、やってみないとわからないことが多いです。ロングボールが多かったからビルドアップの練習をしたら、次の試合ではつなぐばっかりになっちゃったりとか。どうやったら細かい指導ができるんだろうっていうのを勉強しなきゃって感じてます。例えばフォワードの選手にこう動いてほしいなって教えなきゃって思っても、感覚的なところをどう伝えるべきか。そこの難しさをめっちゃ感じてます」
そんな岡崎効果はすでにチームに少なからず好影響をもたらしているようだ。バサラマインツでコーチ兼選手として活躍する奥田裕也がこんなことを口にしていた。
「僕らチームからすると、岡崎さんが持っている基準がまず違うというのに気づかされています。もしチームとして岡崎さんが持っているピッチ内外での当たり前を自分達の当たり前にしていけたら、おのずと成長するだろうし、相当レベルアップできるんじゃないかと思っています」
ピッチ上で誰よりも渇望し、誰よりも戦い、誰よりも走り、誰よりもゴールを目指した岡崎。困難であればあるほど燃えてくる。その情熱が冷めることなどない。戦うフィールドが変わっても岡崎らしさは健在だ。バサラはサンスクリット語でダイヤモンドを意味する。岡崎の輝きはこれからますます増してくるに違いない。