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「12球団調査書」「1位もある」中学時代“控え捕手”からドラフト候補投手に…神戸弘陵・村上泰斗を初めて見た日の“事件”「152キロだって…!?」 

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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posted2024/10/23 17:12

「12球団調査書」「1位もある」中学時代“控え捕手”からドラフト候補投手に…神戸弘陵・村上泰斗を初めて見た日の“事件”「152キロだって…!?」<Number Web> photograph by Kota Inoue

筆者のスピードガンがたまたま計測した真偽不明の数字から、神戸弘陵・村上泰斗には「最速152キロ右腕」の称号が奉られたが…

 誤計測の可能性もあって……。そう申し添えようとするも時すでに遅し。大庭は試合間のトレーニングに励んでいた教え子たちに叫んだ。

「このピッチャー、152やぞ!」

 益田東の部員たちがざわつきはじめる。グラウンドの外で沸き起こった喧噪は岡本の耳にも入ったようで、試合が終わると、「村上、152出したんですか?」とすぐさま話題に上った。

 その際に前後の球速を告げ、「出ても不自然ではない状況だったが、上振れした数字の可能性もある」と、ありのままを伝えた。岡本は「うーん。難しいっすねえ」とうなりながら、村上本人を呼び寄せた。

「152キロ、出るには出たらしいわ。でも、1球だけやったから、もしプレッシャーになるんやったら、他の記者さんに聞かれてもまだ言わんようにするけど、どうする?」

 村上は驚いた表情を浮かべながら、しばし沈黙。結局その場は、岡本の「まあええ。ちょっと考えとき」の一言で“預かり”となった。

「最速152キロ右腕」報道が

 ひとまず収束したことで一安心した私の頭からは、この「152キロ」がすっかり抜け落ちていたのだが、この年の7月、たまたま目に飛び込んできたウェブ記事で思い出すこととなる。見出しの冒頭はこうだった。

「神戸弘陵の最速152キロ右腕・村上泰斗」

 あの村上である。記事を読み進めると、夏前の練習試合で自己最速の152キロを計測したとある。時期は私が観戦した練習試合と重なっていた。

「あの152だ……」

 見た瞬間、形容しがたい感情に包まれた。言うなれば、ちょっとした罪悪感だろうか。何気なしに構えていたスピードガンの数字から、一人の“最速152キロ右腕”が生まれたのだ。

<後編につづく>

#2に続く
ドラフト候補「最速150キロ」報道は本当か? 現場で聞いた驚き発言、球速を“盛る”ことも「あると思いますよ」…“最高球速”という数字の功罪

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