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「璃来ちゃんしか、きっと…」木原龍一が照れ笑いした“ある質問”…復活優勝、りくりゅうの演技はこう変わった「恥を捨てよう、と話し合った」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2024/10/22 17:00
スケートアメリカで久々の国際大会優勝となった三浦璃来・木原龍一
木原の思い「璃来ちゃんしか僕のパートナーは…」
シェイリーン・ボーン振付によるSPは、ローリング・ストーンズの「黒くぬれ」をアレンジした曲。笑顔ではなく「ミステリアス」な雰囲気を醸し出すよう心掛けているという。木原は「宗教的じゃないんですが……」と前置きした上で、シェイリーンから与えられたテーマは輪廻であることを明かした。
後半のステップの部分は「生まれ変わるときに、(それまで)一緒にいた人とは一緒に生まれ変わってこない。それでも僕たちは、いろんなものが邪魔してくるんですけど、それと戦いながら、一緒に生まれ変わるために走り抜けている。払いのけている、戦っている、生まれ変わるために突き抜けていく。そういうイメージです」
実際に二人は、生まれ変わってもまた二人で組んで滑りたいと思っているのか。そう聞くと、木原は少し照れ笑いをして、「そうですね。璃来ちゃんしかきっと僕のベストパートナーはいないので」と答えた。
「恥を捨てよう、と話し合った」
フリーはマリーフランス・デュブレイユ振付による「アディオス」で、音楽はベンジャミン・クレメンタイン。速いテンポで細かいリズムが続く、難しい曲だ。
振付のため、アイス・アカデミー・オブ・モントリオールで2週間トレーニングした。ここは現在世界トップのアイスダンサーのほとんどが所属しているといっても過言ではないアイスダンス王国である。どんな刺激を受けたのだろうか。
「世界トップレベルのアイスダンサーと一緒に練習させていただいて、踊りのレベルがハイレベル……自分たちのレベルがものすごく低いことを感じて。恥ずかしがってちゃだめだ、とにかく下手でもいいから表現することをやってみよう、恥を捨てよう、と話し合ったのを覚えています」と木原。
複雑な恋愛を表現した「アディオス」
「アディオス」のストーリーは男女の複雑な恋愛関係を表現しているのだという。
「(冒頭で)男性側が『あなたもういらない、アディオス(さようなら)』みたいな感じ。ちょっと怒ってる、じゃないですけど……」と三浦が説明する。途中プログロム半ばの穏やかなメロディの部分では、よりを戻す雰囲気になるという。