箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

監督も驚嘆!「私の指示、分かってんの?(笑)」箱根駅伝予選会で立教大学がまさかのトップ通過…強豪校相手にもビビらなかった勝因とは? 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2024/10/20 19:45

監督も驚嘆!「私の指示、分かってんの?(笑)」箱根駅伝予選会で立教大学がまさかのトップ通過…強豪校相手にもビビらなかった勝因とは?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

10月19日の箱根駅伝予選会、季節外れの暑さのなかを力走する立教大学・馬場賢人(3年)。チームトップ、個人15位を記録した

「私からすればおいおい、ですよ(笑)」

「おいおいって思いましたよ(笑)。『後半から勝負だよ』と選手に伝えていた中で、いざ蓋を開けてみたら、5キロを3番とかで走っていたんです。みんな、私が言ったことが分かってんのかなって思いましたね。ただ、今回は設定ペースで必ず行けっていう指示は出していなくて、道中はセルフマネジメントをしなさいという話をして送り出していたんです。彼らなりに考えて走った結果が10キロで1位ということになったんですけど、私からすれば本当においおい、ですよ(笑)。でも、結果的に、そのまま崩れずにいけたのは良かったですね」

 この日の立教大の戦略は、林虎大朗(4年)、馬場賢人(3年)、國安広人(3年)をフリーで走らせ、安藤圭佑主将(4年)は山口史朗(4年)とともに中間位置でペース走をするイメージで、あえて集団走という従来の戦術を採用しなかった。集団走が出来ないという選手たちの意向が働いたのもあるが、この戦略でチーム上位10名中、8名が100位内に入り、10番目の木島陸(2年)も137位と全体を高順位でまとめた。

王道の練習を貫いてきた

 なぜ、ここまで強さを見せることができたのか。

「すごくシンプルで、監督が来られて、距離を含めた練習がしっかり出来ていることが大きいです」

 林は、そう言った。

 就任当初、髙林監督は、練習やレースを見ると後半失速する選手が多いことに気付き、スタミナを軸にした長距離を走る体作りを進めた。その場合、距離を踏むことが必要になるが、髙林監督はただ闇雲に走ることを指示するのではなく、選手個々のレベルや状態に応じて練習量を調整していった。いきなり増やすと怪我に繋がるということを、駒澤大学でのコーチ経験から学んでいたからだ。選手ごとに個別に対応するのも手間暇がかかることだが、個人差があるので、今の時代には欠かせない選手へのアプローチになる。

 その結果、故障者が減り、選手は怪我なく順調に練習を積み重ねていった。確かにそれが長距離において一番強くなる方法なのだが、その王道を髙林監督はここまで貫いてきた。

「監督がメニューを出してくれるんですけど、それが絶妙なんです。距離にしても1000キロとか踏んでいる大学があるじゃないですか。でも、うちは1000キロもいかない。昨年よりも100キロぐらい増やす程度で、それも監督のメニューをやれば自然に700キロから800キロは行く感じなので、走らないといけないみたいな感じにはならないんです。距離走が増えましたし、夏合宿はキツかったですけど、後半も崩れることなくという練習ができていた。それが今回のような結果に結びついたんだと思います」

 今回、チーム内2位、総合25位に入った林は、そう語る。

【次ページ】 結果を出すことで選手から得た信頼

BACK 1 2 3 4 NEXT
#立教大学
#高林祐介

陸上の前後の記事

ページトップ